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 オープンソースで開発されたデジタル教科書が、カリフォルニア州の高校に導入されることになった。

 デジタル教科書は、アメリカでも初の試みだ。今年5月にその構想が発表されて開発組織や出版社が16の教科書を提出し、認定評価が行われた。そして、つい8月11日に州の基準を満たした10のデジタル教科書が発表された。早ければ、今秋の新学期から利用が可能になるという。

 このデジタル教科書は、今のところ高校の数学と理科に限ったものだ。選ばれた10の教科書を見てみると、代数や微積分、地理、生物学などの科目が並んでいる。通常の教科書のPDF版もあるが、中にはクリックしながら学び、宿題もインタラクティブに操作して回答できるものもある。いずれ、教科を増やしていく計画だという。

 デジタル教科書イニシアチブを発表した際、カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事は、「シリコンバレーを抱えるカリフォルニア州の生徒たちに、重い教科書を担いで登校する姿は似合わない」と語った。アメリカの教科書はハードカバーでとても大きく、とても重い。生徒たちはこれを何冊もデイパックに入れて通学するのだが、そんな古くさいことはもうやめましょうというわけである。

 デジタル教科書に対する抵抗は根強かったらしいが、シュワルツェネッガー知事は「今は、従来のやり方にしがみついている時ではない」と一喝。知事が個人的にもかなり強引にこのイニシアチブを進めてきたのだが、その理由は、他でもないカリフォルニア州のぞっとするほどの財政危機である。

 生徒一人当たり100ドルほどかかる紙の教科書が、オープンソースのデジタル版ならば無料になる。州下の各学校区は、何百万ドルとかかっていた教科書費用を他の経費にまわすことができるようになる。デジタル教科書イニシアチブの発表からわずか3カ月で認定にまでこぎつけたスピーディーさには、お尻に火のついたカリフォルニア州の台所事情があるのだ。