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 引っ越しも一段落して自分の部屋の整理に取りかかる。注文したパソコンデスクがやっと来たのだ。前使っていた机は通販で買った安い机で、汚れが目立たないようにと真っ黒な色で統一した。なかなか広くて使い勝手が良かったのだが、10年も経つと合板がめくり上がりスライドの板も何かにつっかえて引き出せなくなった。そこで引っ越しを機に買い替える事にしたのだが、かみさんから命令が2つ出た。

 まず部屋数が足りないので小学5年生の息子と同じ部屋であること。そして机2つを置くスペースが無いので一緒に1つの机で仕事と勉強をやること。「おいおい、俺はネタ考えたりするんだから一人じゃなきゃできないんだ」と嘆願しても「あんたのネタなんて遊んでるような落語ばかりでしょ。小学生と同じレベルだから丁度いいのよ」とすげない答え。

 そこで幅が1.8メートルある机を購入。色は黒からお洒落な白に。この机を息子と半分して使うことになった。俺は「子どもと一緒だなんて嫌だな」とぶつぶつ文句を言ってはいたが、実は「同じ机で息子と仕事しろ」指令の裏には隠されたかみさんの策略があった。

 目を離すと小学5年生の愚息はすぐに「ドラクエ9」や「モンスターハンター」の世界に入ってしまい、全く勉強しない。せっかく、公文の塾に入れても、もらった課題のプリントをこっそり机の下に隠す始末。それで何食わぬ顔をして「父ちゃん、やること終わったからゲームして良いかな?」なんて聞くから俺もつい「それじゃ一緒にリオレウス狩りに行くか?」などと誘ってしまい、後で鬼の形相のかみさんから怒鳴られる始末なのである。俺は、隙さえあれば勉強を逃げ出しゲームに走るこのおバカ息子のお目付け役を仰せつかったのだ。

 真新しい白い机にいそいそとパソコンを設置して電源を入れると無事に画面が映った。引っ越しすると環境が変わるからいつパソコンがフリーズするんじゃないかと思って心配ばかりしてしまう。これで一安心。そこでメールを見ようとマウスを動かすと矢印がピクリとも動かない。俺のマウスはレーザー式でキーボードとともにワイヤレスでつながっている。これなら狭いスペースでも簡単に仕舞えるから便利なのだ。昔はマウスパットなる滑らないゴム板みたいなものの上をマウスを乗せてセコセコと動かしていたが、今では必要無い。便利な世の中になったものだ。だがそんな便利なマウスでも動かなければどうにもならない。そこで底にあるキャンセルボタンを5秒押して初期化してからもう1度接続……動かない。