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 今週のシリコンバレーの話題は、何と言っても1年ぶりに公の場に姿を現したスティーブ・ジョブズのことだろう。

 2009年9月9日のメディア・イベントが開かれることが明らかになって以来、「タブレットMacがついに発表されるのか」とか、「とうとうビートルズの楽曲がiTunes Storeで売り出されるのだよ」とか、「その上、ポール・マッカートニーが登場するに違いない」とか、いつものアップル・イベントの常で、いろいろな噂が飛び交った。どれもハズレで、最も底流に流れていた「それで、ジョブズは出てくるのか」だけが当たりだった。

 私は訳あってライブ・ブログを見ていたのだが、イベントがオープンするなりステージに出てきたジョブズの姿に、さすが聴衆は熱狂し、スタンディング・オベーションが数分続いた。

 彼の病状については、これまでアップルが正式な発表をしないので、「株式公開企業として、この姿勢はいかがなものか」と議論されていた。それをジョブズ自身が、「知っている人もいるだろうけれども、僕は5カ月前に肝臓移植手術を受けました」と初めて語った。肝臓を提供したのは、20歳半ばで交通事故によって命を落とした人物だそうだ。「寛大に臓器を提供してくれなかったら、僕は今ここにいない」と言って、臓器提供を聴衆にも勧めたほどである。

 「I am vertical and I am back.」と、ジョブズは復帰宣言。このvertical (垂直状態)というのは、ちゃんと立ちあがって二本足で歩いているということ。つまり、それだけ長い間、病床にあったということなのだろう。

 このジョブズの再登場を「元気な様子」「エネルギーいっぱい」と評しているメディアもあったが、「やせているけれども、笑顔だった」と、躊躇気味に表現したメディアもある。正直なところ、私は大変痛々しく感じた。やっぱりずいぶんやせたままだし、声にも力がない。今後の順調な回復を願うばかりだ。とは言え、またもや自分でプレゼンテーションをやってのけたあたり、やっぱりジョブズである。常人ならば、病み上がりにこうはいかないだろう。