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 「ウォールストリートの報酬体系に納得がいくか?」――。調査会社のIpsosが1000名のアメリカ人に対してアンケートをとったところ、過半数の60%が「納得いかない」「憤りを感じる」と回答したという。

 そうだろう、そうだろう。とは言うものの、怒っている人が100%でないことは驚きではないだろうか。それにもっと意外なのは、「では現在の政府の介入が適度だと思うかどうか」という質問に、26%がこのくらいだろうと答え、25%がやり過ぎと答え、もっとやれと回答したのは36%しかいなかったということだ。

 経済危機の後、やっと変わったのは、アメリカで役員報酬が本格的に議論されるようになったことである。それまでも、役員報酬を考える委員会などが各企業内にはあったりしたのだが、まったく機能せず、結局は一生懸命仕事をしてもらおうと高い報酬で連れてきたCEOに振り切られるかたちで、この社会は動いていたように思う。

 新聞や雑誌でも、役員報酬が話題になることは何度もあったが、これまでは批判をするための道具がなかった。会社もうまく行っていて、それに貢献したのだから、報酬をもらうのは当たり前。

 私としては、それにしても何100万ドル(つまり何億円レベル)もいらないでしょうと思っていたのだが、アメリカは「国民にはみんなそういうチャンスが開かれているのです。あなたもぜひ社会に貢献する、そういう役員になって下さい」と考える国である。もはやそんなアメリカン・ドリームが簡単に成り立たないことは、ひどい貧富の差を見ると明らかなのだが、そういう明るい建て前で、これまでずっとやってきたのだ。

 経済危機に陥ったことで、「greed(強欲)」という言葉がやっと市民権を得たかのようである。目を剥くような報酬の高さには実は何の根拠もなく、あったのは「greed」だけだった、という……。しかし、だからと言って、政府が報酬に過度に制限を加えるのはよくないと考えるのが、アメリカのユニークなところである。それが冒頭に挙げたアンケート結果が示すところだ。