デジタルモノにとって最大の痛手が起動しないということ。それはどんな多機能であってもどんな便利なモノであってもただの金属やプラスチックの塊にすぎない。それを引き起こすのに日常で最も可能性の高いのが、落下、水濡れ、水没なのではないだろうか。。。
いや~何を申したいかというと、やってしまったのです……水没。
携帯電話を所持し十数年経つのだが、国内外の数多くのトイレでも洗面所でもアウトドアにも負けず、ゲリラ豪雨時出先でも負けず……水没でアウトということを経験したことがなかった。しかしとうとうその日がやってきた。
それは趣味の渓流釣りの最中、足を滑らせて、身の丈以上の川の淵に落ちてしまった。なので正確には、携帯水没でなく、私が水没したのだ。
秋の終わりを告げる禁漁に入る前、最後の渓流釣りでの水没。その日着用していたフィッシングベストには、リコーのデジカメ「GRデジタルIII」も入っていた。余談だが、いや~透き通った清らかな水は汗だくで岩を登りながらの釣りには実に気持ちがよかった。それだけが幸いだった。これがヘドロまみれだったら悲しすぎる……と思ってなければやってられない。
頭までドボンと入った。川から上がり冷静にケガがないことを確認して、急ぎベストから電子モノを出す。カメラ、携帯電話、車の電子キー。。。他のポケットに入っている釣り針やラインは濡れても問題ない。
まずカメラ、携帯の電源を入れてみた。いずれも機動した。「大丈夫! 俺達問題ないぜぇ」と言っているよう。信じられないっ。スゴいぜ、ドコモD905i! リコーGRIII! と思い、それらの周りに付いた水滴を丁寧に拭き取ってゆく。
ん!? しばらくすると点灯した彼らが力尽きてゆくように、点滅したかと思うと携帯にいたっては、突然バイブレーターで震え始めた。さっきの「大丈夫!」は断末魔の叫びだったのだ。電源を落とし、バッテリー周りを見る。水滴がたっぷり。GRにいたっては、SDカードもびっしょり濡れていた。日は傾きかけていたが渓流の岩でこれらを必死で乾かす。しばし呆然。ん~だめだった場合。どうしよう~ということ。
この日釣ったニジマスの写真が消えてしまった残念さと携帯電話のメモリーが飛んじゃったことが、同時に頭をよぎったのには自分でも驚いた。同じ価値なのか……と思いながらぼぉ~とその場で釣り糸を垂らしている自分がいた。
電子キーは問題なく通常通りエンジン始動。車で戻る。エアコンの吹き出し口に携帯とGRIIIを置く。せっせと乾かし作戦である。以前ちょっと濡れたカメラを乾かして復活した経験がある。しかし回復せず。