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カクキューの「八丁味噌」(1890円~)
カクキューの「八丁味噌」(1890円~)

 尾張名古屋を代表する食文化として知られる「赤味噌」。そのルーツと言われるのが「八丁味噌」である。徳川家康が生を受けた岡崎城より西へ八丁はなれた八丁村。この地で早川久右衛門勝久が味噌の仕込みを始めたのが八丁味噌の起こりとされている。

 良質の矢作大豆と、花こう岩質の地盤から湧き出る良質の天然水。矢作川の水運により吉良地方から運ばれてきた天然塩と、醸造に適した温度と湿度。「大豆」「水」「塩」「気候風土」という豆味噌造りには欠かすことのできない条件と、早川家が培ってきた味噌造りの技術が合わさり、八丁味噌はその味の良さと、長期保存できる利便性から、三河武士の兵糧として重用されるようになっていった。

 生誕の地に伝わる伝統食である八丁味噌は、家康もおおいに愛食しており、居を江戸に移した後も手放さなかったという。家康の江戸開府にともない関東地方の人々にも親しまれるようになった八丁味噌は、大名の参勤交代により全国にその名を知られることとなる。

 明治34年には宮内庁御用達の栄に浴し、時代が移り変わった現代においても、八丁味噌は、「豆味噌」の代名詞として多くの人々に愛され続けている。昭和31年には、日本学術振興会南極地域学術観測隊の携行食品に採用。食品添加物を一切使用せず、加熱処理もしないにもかかわらず、耐暑耐寒に優れ、長期保存ができ、バランスのとれた栄養を摂取するこができる八丁味噌は、極寒の地で食することができる貴重な「自然食品」として高い評価を受けたのだ。