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 モバイル系のプラットフォームに関しては、以前、この連載で書いたように、ワイヤレス系のネットワーク事業者が扱う、契約モデルへの移行が起こりつつあります。つまり、通信機能を搭載したハードウエアをネットワーク事業者との契約とセットで販売することで、初期導入価格を下げることが可能になるわけです。

 こうした、モバイル系のプラットフォームで今注目されているのは、「マーケット」や「アプリケーションストア」と呼ばれる機能です。これは、該当のプラットフォームで利用できるアプリケーションを、ダンウロード、インストールする機能(ソフトウエア)で、最近では、これに決済機能を組み合わせて、オンラインで購入が可能となるものです。

 こうした機能は、Linux系のパッケージマネージャが始まりです。Linux系のシステムには、インストールするアプリケーションやシステムソフトウエアを簡単に管理するために、パッケージマネージャと呼ばれるソフトウエアがありました。最初は、パッケージ(アプリケーションをインストールするためのファイル)をユーザーが手動でダウンロードしていましたが、インターネット接続が普及するにつれ、リポジトリと呼ばれるサーバーからパッケージを検索して自動的にダウンロード、インストールできるようになりました。また、当初は、コマンドライン形式でしたが、GUIも搭載され、より簡単に使うことができるようになりました。

 パッケージマネージャは、単にパッケージをダウンロードしてインストールするだけでなく、現在インストールされているパッケージの管理や、パッケージ同士の依存関係も管理します。このため、現在インストールされているアプリケーションが更新されれば、自動でアップデートもできるし、動作に必要な他のモジュールなども自動的にインストール/アップデートすることができます。

 モバイル系のマシンでも、Linuxをプラットフォームに使い、インターネット接続が簡単にできるものには、この機能が搭載されていました。シャープのLinux Zaurusは、自動ダウンロードはできませんが、パッケージマネージャを持っていたし、NOKIAのインターネットタブレットは、ダウンロードも可能なパッケージマネージャを搭載していました。

 このパッケージマネージャと、ソフトウエア販売の機能を組み合わせたのが、iPhoneのAppStoreです。Appleは、すでにiTunesが搭載していたメディアの販売機能を使い、開発者がアプリケーションを登録し、有償/無償で配布する方法を提供したわけです。

 こうした販売機能を持つパッケージマネージャは、アプリケーションストアやアプリケーションマーケットなどと呼ばれるようになりました。ここでは、これをマーケット機能と呼ぶことにしましょう。

 マーケット機能は、パッケージの管理機構とアプリケーションの登録、販売管理機構の組合せです。ですが、このマーケット機能は、今後のモバイル環境を大きく変える可能性を持っています。

 広く普及しているWindowsでは、もともとパッケージ管理機構がなく、現在ではインストーラーが共通化されている程度です。このため、複数のアプリケーションやソフトウエアモジュールに依存関係があっても、これはユーザーが管理しなければなりません。オンラインソフトウエアを使うときに、別のランタイムモジュールをダウンロードしてインストールするなんて経験はどなたにもあると思います。パッケージマネージャがあれば、こうした面倒な手間がありません。また、正しいものが自動的に選択されます。Windowsでは、どのバージョンをインストールするのかは、完全にユーザー任せで、場合によっては違ったバージョンのものをインストールしてしまい、ソフトウエアがうまく動作できないこともあります。

 また、アプリケーションを探すには、Googleなどの検索サイトを使ったり、マイクロソフトやサードパーティのサイトを探したりする必要があります。ですが、パッケージマネージャでは、アプリケーションの検索機能やブラウズ機能が提供されており、該当のプラットフォームに必要なソフトウエアをすべて簡単に見つけられます。

 Googleなどでソフトウエアの検索が必要な場合、パソコンで検索してダウンロード、これをモバイル機器へと転送してインストールという手順を使う方が便利です。小さな画面で検索などするよりも、パソコンでやってしまったほうが効率的だからです。しかし、パッケージマネージャがあれば、大きな画面さえ不要となり、モバイルマシンだけで完結することができます。パソコンが不要なら、パソコンを持たないユーザーもモバイル機器を利用できるようになります。この点でいえば、モバイル機器は、いまやパソコンへの依存度を減らし独立しつつあります。同期機能なども、インターネットを使えば、必ずしもパソコンに接続する必要はありません。