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 インターネットの普及で「紙で活字を読む人」が減り、新聞や雑誌、さらには本も売れなくなっていく……そう思っている人は多いかもしれない。もちろん、紙メディアに対するネットの影響は否定しないが、紙メディアもこれまでの業界常識にとらわれない、ネット対応の自己変革を迫られるはずだ。

 例えば、ネットのおかげで「無名に近く実績も乏しい著者」がベストセラーを生み出す「新しい現実」が起こっている。かくいう私も手前味噌ながら、処女作「メール道」がアマゾンで2位になり、新著「すぐやる!技術」が10万部を超えて、驚くべきネット効果を体感している。特に後者は、執筆中の原稿をブログで徐々に全文公開するという新しい試み。同業者として舞台裏を知りたいという当コラム担当編集者の要望に応えてみた。

1.出版界よりネットでの実績

 ベストセラーを出そうと思うなら、まずはメルマガやブログで発信を続けることが大切だ。文章力が磨かれる上に愛読者を獲得でき、出版社からも声がかかりやすい。十年来、私のメルマガやブログを愛読してくれる人は言わばファンクラブに近い。ありがたいことに、本を出版した暁には、いち早く読んで、ネットコミまでしてくれる可能性が高い。

2.コピペブログに出版の道なし

 ネットには、コピーされた情報が氾濫している。だからこそ人気を博するのは、その道を究める発信者が自ら現場で体験して、試行錯誤を繰り返した末の一次情報なのだ。「すぐやる技術」も明治大学の講義で出会った「考えすぎて動けない若者たち」を励まそうと熱く語り続けた記録である。講義でのやり取りを編集者が本にしてくれたのだ。

3.発売前からネットで全編を公開

 「すぐやる技術」は草稿が書けた順にブログで公開していき、メルマガで更新通知を続けた。ただでさえネットで本離れが進む上、二番煎じが横行する出版業界では禁じ手とも言える戦略だ。もちろん本の購入者が減った一面もあろうが、タダで読み終えた多くの縁者が本を買ってくれ、それぞれのメルマガやブログで宣伝までしてくれた。

4.ブログ連載はチューニング工場

 「すぐやる技術」ブログの一番の読者は出版社の担当編集者だった。このブログは原稿の入稿を兼ねていたので、編集者も記事が公開されて初めて原稿を目にできたのだ。そうすると意見や要望のメールが届く。また、明治大学の受講生やメルマガの読者からもリクエストが寄せられた。それらを見ながら内容をチューニングしていけた。

5.デザインで紙の長所を生かす

 いくらネットで全文公開をしたとしても、紙媒体ならではの長所を生かすことで本も買ってもらえるはずだ。大きな字で縦書きし、分かりやすい図表とセットにすれば情報価値は高まる。「すぐやる技術」は書店で目を引く表紙デザインにして、まず手に取ってもらった。パラパラとめくれば、明解なQ&Aと図表イラストが目に飛び込んでくるようにした。こうした明瞭性×一覧性×携帯性は本ならではだ。

6.ネットコミの力は発売日に最高潮

 ネットでの連載が終わって校正も進み、いよいよ発売間近になったらカウントダウンのメルマガやブログ告知を始める。そして発売日には、ネット書店などへの誘導リンクのお願いだ。ありがたいことに拙著の場合も、発売日に合わせて心ある縁者がメルマガやブログで紹介してくれた。こうしたネットコミなくしてヒットはなかっただろう。

7.フォローアップは編集者ブログで

 発売後は、店舗やお客様からの反響をまとめてフォローする応援ブログが効果的だ。本の概要はもちろん、店頭やネットのランキング、新聞・雑誌・ブログ書評などを紹介する。「すぐやる技術」でも発売日に前後して、担当編集者が応援ブログを開設。私と2人で情報をアップしているが、今では検索上位に表示されてアクセスも上々である。

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 禁じ手成功の謎を種明かしすれば、かくも簡単でお金のかからないネット活用の積み重ねだったのだ。