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 韓国政府機関の一つであるインターネット振興院が、インターネットのことなら何でも相談できるコールセンター「118」を2010年1月に開設した。局番なしで「118」に電話すれば、スパムメールやウイルス、個人情報盗用、ハッキングなどの被害相談はもちろん、パソコンの電源の入れ方、ウェブサイトにアクセスする方法、会員登録方法といった基本的な利用方法から実名制度の仕組みとは何か、という情報に関することまで、何でも相談できる。通話料のみで利用料はない。

 スパムメールやウイルス・ハッキングなどによる被害を警察に届けるべきなのか、判断するための相談窓口にもなる。

 韓国のインターネット利用者は人口の8割を超えており、乳児と超高齢者以外の国民のほとんどが利用している計算だ。インターネットは韓国人にとって最も身近で重要なメディアであり、コミュニケーションツールでもある。そのためインターネットを介したトラブルが増え、実名制度による本人確認もややこしくなっている。トラブルや被害にあったとき、まずどこへ相談すればいいのか、ぱっと思い浮かぶ相談窓口はこれまでなかった。

 今まではインターネット利用に関する相談窓口は、犯罪ならサイバー捜査隊、セキュリティなら韓国情報保護振興院、利用方法なら各サイト、ネットワークのことは通信会社、パソコンのことは製造会社と、ばらばらだった。118はこれらすべての窓口を統合。365日24時間対応で、国民の利便性向上を図る。

 韓国インターネット振興院によると、118のようなコールセンターは世界初という。火事は119、犯罪は112(韓国の110番は行政苦情窓口)といったように、「インターネットは118」と覚えてもらいたいと話す。特に子供やお年寄りの利用を見込み、118を覚えてもらうためのキャンペーンも実施している。

 118に期待されているのは、インターネット利用者のセキュリティ意識向上である。インターネットを始めたばかりの子供やお年寄りに利用方法を説明すると同時に、このような初心者がセキュリティ対策の重要性を認識し、ウイルス退治プログラムを使ったり、個人情報をしっかり管理したりするよう啓蒙する役を担う。

 韓国ではセキュリティ対策をしていないパソコンが多く、それを踏み台にしたDDoS攻撃(複数のコンピューターから大量のパケットを送りつけるなどして、特定のコンピューターを利用不可能な状態に追い込むこと)も頻繁に起きている。スパムメールや偽ウイルス退治ソフトによって感染し、ゾンビーパソコンとなって、ユーザーは知らないうちに攻撃に加担することになる。

 韓国では2003年1月と2009年7月、全国でインターネットが利用できなくなるほどのDDoS攻撃を受けた。DDoS攻撃による企業のシステム・ネットワーク復旧費用、サイトへのアクセス不能に起因したサービス提供停止による被害額は、年間約300億円前後と言われている。

 2009年にはメッセンジャーをハッキングした振り込み詐欺が多発した。ある端末から送付されるメッセンジャーをハッキングして、その端末所有者が登録する友人らに「お金を貸してほしい」と本人になりすましてメッセージを送り、振り込ませる手法だった。オンラインゲームやSNSでも、ハッキングによるサイバーマネー盗難が増えている。このような被害があったときに、警察よりも早く実情を把握して、適切な対処を促すのが118である。

 iPhoneをきっかけにスマートフォンの利用が急増していることから、2010年、118にはスマートフォンからインターネット利用の問い合わせが増えることが予想される。

 スマートフォンから主に利用する無線LANの場合、面倒という理由でモデムにパスワードを設定しない家庭が多い。誰でも自由に電波を拾って使えるのでハッキングの危険性が指摘されているが、街中ではフリースポットがなくても、こうした無線LAN電波をいくらでも拾える状態だ。スマートフォンからこのようなパスワード設定なしの無線LANを利用した場合、ハッキングされる可能性もある。スマートフォンや携帯電話を狙ったウイルスの中には、有料サイトに勝手にアクセスして料金を発生するように動作するものがあるので、注意が必要だ。

 スマートフォン向けのウイルス退治ソフトの開発は活発で、すでに、スマートフォンからのインターネットバンキングに対応したセキュリティソフトを銀行が提供し始めている。ただ、こういう情報を利用者が知らなければソフトは当然使われず、開発する意味もなくなる。

 インターネット何でも相談窓口「118」は、韓国のインターネット利用をより便利にし、人々のセキュリティ意識を高められるだろうか。「世界初のサービスとして、他の国からも注目されるようになる」(インターネット振興院)か、今後の活動が注目される。