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 ある日「もうみんな観たかな?強烈にすげえよ」と動画の短縮URLがTwitterに流れていた。それには「メディア芸術祭エンターテインメント部門大賞」とあり、クリックしてみた。確かにこれはすごかった。

 文化庁メディア芸術祭は世界の優れたアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガなどを展示するもので、今年で13回目となる。ポップな写真や絵画だけではなく、つい数カ月前にテレビで見たアニメやゲームなどのサブカルチャーに分類されるものも対象となる。

 現代アートのたぐいが好きなので昨年足を運んでみたら、入場する前から客層と人数に驚いた。会場は六本木の国立新美術館。壁面が波打っている大きな美術館だ。少し前ならハプスブルグ家ゆかりの作品、現在ならルノワールなど、有名どころの絵画を呼び寄せては展示している。普段は芸術好きのシニアをよく見かけるところだ。もちろん若年層だって見かけるが、そう多くはない。ところが昨年見たメディア芸術祭の客層は圧倒的に平均年齢が低かった。

 その理由はアニメやゲームが数多く展示されているからだろう。世に出回っているアニメやゲーム作品は玉石混交であるが、秀逸なものが評価されて美術館に展示されるのはいいことだと思う。加えて、昨年「ケータイからアート参加する若者たち」でも取り上げたように、体験型や参加型の作品があるのも特徴だ。身近なものを使いながら感性を研ぎ澄ませることができれば、それはいい試みだと思う。

 さて「風のうわさ」ならぬ、「つぶやきのこだま」から聞こえてきたおすすめ作品はYouTubeに投稿されたものだった。見ると、YouTube Video Awards Japan 2009の音楽部門でも受賞したようだ。タイトルは「SOUR '日々の音色 (Hibi no neiro)'」。音楽部門なので音楽のプロモーションビデオでもあるのだが、やはりすごいのはその映像だろう。3分51秒の音楽付き動画にぐっと引き込まれる。

 冒頭、ノートパソコンが映し出される。おそらくこれを読んでいる読者の目の前の光景に近いはずだ。映像は次第に画面に近づいていく。ふとノートパソコンの画面中央から動画が再生され始める。そこには私室のような部屋のソファでギターを持つ男性がいる。カメラのようなものに手を伸ばしたかと思うと、画面がノートパソコンからウェブカメラが映すような画像に切り替わる。そこから歌が始まる。

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