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 電子ブック市場が、またもや、ややこしいことになっている。

 2010年1月27日(米国時間)、アップルの「iPad」発表によって、同社が電子ブック市場に乗り出してくることが分かった。ずっと以前には、グーグルがブック検索でやはりこの市場に、しかもデータの無料提供という形で入ってきた。ところが今回は、動きののろかった出版社である。

 というのも、電子ブック市場のパイオニアであるアマゾンが、出版社にイケズされそうな気配なのだ。

 アマゾンは、2007年秋の電子ブックリーダー「Kindle」発売以来、数々の出版社のベストセラー版を9.99ドルという破格の値段で売ってきた。アメリカのハードカバーはつくりが大きい上、印刷業界が日本のように小回りがきかないのか、新刊本は25ドル以上もする。

 Kindleは250ドルを超える価格だが、新刊本がたったの9.99ドルという魅力は大きいし、20冊も本を購入すれば元が取れるので、多くの人々がKindleを買ってきた。最近明らかになった数字によると、これまで300万台のKindleが売れた模様。

 アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏が語ったところによると、アマゾンのオンライン書店で、ある書籍にハードカバーと電子ブック版があった場合、前者が100冊売れれば、後者は48冊売れているのだという。半分に届きそうな勢いである。

 アマゾンのオンライン書店では、ハードカバーも通常の店頭の店やほかのオンライン書店よりも安い。電子ブックにいたっては9.99ドル、アマゾンが出血サービスをしているためである。つまり、書店から仕入れた値段からさらに4ドルほども値引きして、Kindleのユーザーに提供していると言われる。

 Kindleを広めるためのアマゾンらしいアプローチが、出版社を怒らせてきた。アマゾンがそんなに安売りすると、これまで付き合ってきた書店の店頭で25ドルの本が売れなくなる。出版社としても印刷費やら運送費やらをかけているのに元が取れなくなってしまうからだ。

 出版社が一丸となってアマゾンに抗議すれば、カルテルとなって独占禁止法に違反する。だから、これまで出版社は個々にアマゾンにチクチク文句を言ってきたのだろう。