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 2009年で最も重要な出来事は、Microsoftが全社を挙げて一致団結したことだ。Vistaの初期のリリースは悲惨なものだった。Microsoftはそれを一掃して、Windows 7のリリースで大きく前進した。

 昔はMicrosoftの主要製品の第1回のリリースはベータは大して変わらなかった。私は、Microsoftは世界中に一番大きな品質テスト部門を持っていると冗談を言ったことがある。実際、世界がテストの場だった。同社はテストスタッフを「顧客」と呼んだ。長い間、それは真実と言ってもよかった。そしてそれはうまい戦略だった。コンピューター革命の初期の時期には、ハードウエアは数カ月ごとに格段に進歩した。MicrosoftとIBMの戦いにおいて、IBMは古い哲学を守り続けた。つまり、ソフトウエアがちゃんと動作するようになるまで、出荷してはならない。Microsoftは反対の考え方を選んだ。ソフトウエアが何とか動いたら、即座に出荷しろ。ハードウエアはどんどん良くなっているのだから、我々を助けてくれる。Bill Gatesは自分の会社をその信念に賭けた。一度だけではなく、何回もそうして、うまくいった。WindowsとOS/2の優劣がどうであれ、Windowsは勝ち残り、IBMのOS/2は勝ち残れなかった。

 Microsoftの「即座に出荷」という戦略はWindows 7では変わった。Vistaの場合、古いDr. Watsonユーティリィティで自動データ収集を行ったベータリリースが多数あったが、今回、Microsoftは実際のバグと同様にユーザーの苦情も含むすべてのデータに注意を払った。同社はレポートされたクレームの優先順位を割り当てるシステムを開発して、それを修正するのに注力した。その結果、Windows 7は最後の方のRelease Candidate(RC)バージョンでさえ非常に良好に動作して、出荷時はきわめて良い状態になっていた。

 Windows 7はまさに我々が待ち望んでいたものだ。簡単に使えて、全般的にちゃんと動く。さらに、便利な機能がたくさんあるが、ほとんどの人は知らないか、そういうものがあると予測しない。私は毎週知らなかったものを見つけ続けている。結論は、Windows 7システムはMac OS Xと同じくらい使いやすいというものだ。また、Windowsユーザーにとって、Macのしきたりを学習するよりずっと簡単だ。2年前、私は自分の処理をすべてMac OSに変えようとしていた。Vistaには全く希望が持てなかったし、Microsoftはマーケティング戦略に依存して生き延びるだろうと私は考えた。しかし、技術チームは機能していなかった。Windows 7がそれを食い止めた。私はMac OS Xに対する大きな不満は全くなく、Windows 7はまだ性能が証明されていなかったので移行しようとした。今の私の見解は、Windows 7システムは十分良く、それ以上だとも言えるということだ。そしてこれは、私にとって2009年の最も重要な出来事だった。

 私が何と言ったか注意して見てほしい。Windows 7 OSではなくWindows 7システムと言った。「システム」とはWindows 7 OSそのものにWindows Live Essentialsからダウンロードできるすべての無料のプログラムを加えたもののことである。さらに、Windows Security Essentialsも必要だろう(これはある理由があって、Windows Live Essentialsのパッケージの一部になっていない)。Windows Internet ExplorerもWindows 7システムの別の一部分である。これをデフォルトのブラウザーとして使っていない人もいるかもしれない(私は使っていない)。しかし、MicrosoftのWebサイトで何かしなければならない場合は、必ずこれが必要だ。私の経験では、Internet Explorerを使えば、Microsoftからのアップデートとダウンロードが格段にスムーズに行なえる。また、それを行なう場合は、IEの最新バージョンを使うのがベストだ。

 Windows 7は、昨秋のProfessional Developers Conferenceでデモが行なわれたように、Microsoftの企業向けツールセットに統合される予定だ。いろいろ言ったが、MicrosoftはAppleの大胆な挑戦に追いつくために大きな一歩を踏み出した。もちろん、Appleが実際にMicrosoftのマーケットシェアの重大な脅威になったことはない。しかし、便利なPCとMacを対比させるテレビ広告では、それは分からなかっただろう。どんな場合であれ、競争は良いことだ。そして、Microsoftはマーケティング戦略だけでなく、性能や使いやすさでも競合するようになった。