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 アメリカのメディアではトヨタたたきがかまびすしいが、最近同じようにたたかれているのが、シリコンバレーだ。ここ半世紀以上にわたって新たなIT産業を生み出し、ニュー・エコノミーを台頭させた輝かしいシリコンバレーが、今ひとつ元気がないという話題である。

 毎年この地域の調査レポートを発表するジョイントベンチャー・シリコンバレー・ネットワークという半官半民の組織がある。2010年度のレポートによると、シリコンバレーを成功に導いた“フォーミュラ(方程式)”の数々が、当然のものとしてもはや期待できなくなったという。

 たとえば、革新的な技術開発の裏には海外から集まった優れたエンジニアたちの存在があったが、9.11以降のテロ対策で移民政策が硬直化したことや、中国やインドなど他の国にも新しいテクノロジー隆盛の地ができたことで、シリコンバレーが以前ほど優れた才能を集められなくなっているという。

 また、起業家に豊富な資金を提供してきたベンチャー・キャピタリストたちも、苦悩の時代に突入している。かつてなら投資資金が何倍にもなって戻ってきたIPO(新規株式公開)は、現在では市場の関心が低くて、投資のエグジット戦略として成り立たなくなっている。つまり、大きなリターンが得られる見通しがつかなくなっているのだ。

 その上、これまでベンチャー・キャピタルに資金を提供してきた年金組合などは、この不況で投資損を抱えているところも多く、新たな資金が出せない状態。そうした影響を受け、一時雨後のタケノコのように増えたベンチャー・キャピタルも淘汰の時代に入り、今ではかなり数が減っている。生き残っているところは管理費を下げるなどして、資金提供者側の負担を少しでも軽減しようとしているという。

 ベンチャー・キャピタルに代わって、シリコンバレーの起業家たちに資金を提供しているのが連邦政府の研究補助金。こちらも、かつてシリコンバレーの勃興を支えたようなかたちで大掛かりな補助がなされていないと、ジョイントベンチャー・シリコンバレー・ネットワークは分析している。地元からワシントンへの働きかけが弱かったというのだ。

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