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 今回も引き続き新しいテレビの話を書こうと思ったのだが、ここで異常事態発生! またまた読者のみな様のご意見を聞きたいことが起こりました。

 俺は去年の7月から地元ケーブルテレビの仕事で「わが街の妙高一番」と言う番組でレポーターをやっている。この番組は妙高市にケーブルが延びた事で地元の方にもっと妙高市の良い所を知ってもらい、あわよくばケーブルテレビにも加入してもらいたいと言う地域活性化&営業番組である。

 番組制作のY部長が去年の春に、もみ手をしながら俺のそばに来て「師匠、新しい番組作るんですが予算がないんです。それで番組が軌道に乗るまで2~3回レポーターやってもらえませんか?」と言うではないか。「どんな番組なの」と聞くと「NHKの鶴瓶師匠の『鶴瓶の家族に乾杯』みたいな番組で、師匠に行き当たりばったりで色々な妙高地区の人とふれあって欲しいんですよ」

 何、鶴瓶師匠と同じことを俺にやれと言うのか!

 人をあまり尊敬しない俺だが鶴瓶師匠だけは尊敬している。何度かお会いしたことがあるのだが、テレビのままの気さくで偉ぶらないとても素敵な人であった。落語家の中には、テレビでは優しそうだが実際は気難しい○○師匠や、威張り散らす○○師匠がいると言うのに、こんな有名な師匠が「白鳥、一緒に風呂入ろうや」なんて声をかけてくれるのだ。

「是非やらせてください」
「師匠。それで予算がないんだけど2万円でいいかな?」
「分かりました。それで交通費は?」
「込みでお願いします」

 ……? ちょっと待ってくれ。俺は東京池袋に住んでいて妙高市に来るには長野新幹線を乗ってから在来線に乗り換えなければいけない。山手線では来られないのだ。そんな遠くにあるのに交通費込み……となると実際の出演料が5000円?

「これでも東京じゃ若手人気落語家ですよ。それがたったの5000円はひどい」
「でも白鳥君が売れないころ面倒みたじゃないか。それに2回だけやってくれたら、あとは地元のレポーター使うからさ。軌道に乗るまで頼むよ」

 そう言われたら義理と人情に厚い俺は引き受けざるを得ない。「まあ2回ならいいか」と思って引き受けたのだが、2回目が終わってしばらくしてY部長が言った。

「評判いいよ、あの番組。妙高市役所でも是非これから続けて欲しいと言われてね。頼んだよ、師匠」
「いや僕2回もうやったので」
「うーん、そうなんだけど妙高市のお偉いさんが白鳥さんじゃなきゃ駄目だって言うんだよ。やっぱり人気落語家さんは違うね」
「ええ、俺じゃなきゃ駄目? 分かりました。どーんと引き受けましょう」

 とお調子者の俺はそれからずーとこの番組をやっているのだ。