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 11月の中間選挙を控えて、選挙周りの話題がさすがに多くなってきた。カリフォルニアでは、ことにシリコンバレーのIT界で名を成した2人の女性が出馬している。

 ひとりは、オークションサイトのイーベイのCEO (最高経営責任者)を務めたメグ・ホイットマン。彼女は、州知事選挙に立候補している。もうひとりは、ヒューレット・パッカード(HP)のCEOを務めたカーリー・フィオリーナ。こちらは、上院議員選挙である。

 カリフォルニア州の財政がひどい赤字で、公立学校や州立大学は大幅なコストカットを迫られ、州の役人も無給休暇を取るなどの処置が行われている。そこを突いたホイットマンのアプローチは、「ビジネスで鍛えたマインドでしか、カリフォルニア州の財政は立て直せない」というもの。

 現在の知事は有名なアーノルド・シュワルツェネッガーだが、ハリウッドの俳優などに知事は任せられん、とでも言わんばかりに、「ビジネス」「ビジネス」を連呼する宣伝を打っている。

 彼女の強みは、何と言っても選挙資金がふんだんにあること。これまで6400万ドル(約59億円!)をつぎ込み、絨毯戦術のような選挙運動を行っている。

 反対に弱みは、同じくその「ビジネス」である。このたびの経済危機は、何を隠そう、短期的にもうけを最大限に見せようとするそのビジネスマインドが引き起こしたものではないのかと、冷静な人々は見ている。それに加えて、悪名高きゴールドマン・サックスとのつながり。ホイットマンは、かつてゴールドマン・サックスの社外役員を務め、同社株を与えられて売却利益を上げ、選挙資金もそこから得ている。

 ゴールドマン・サックスの不正取引疑惑が表沙汰になってから、彼女への支持率ががくんと減り、共和党候補の座を争って一度は大きく開けたスティーブ・ポイズナーとの支持率の差がグッと縮まってしまったのである。

 ポイズナーもシリコンバレーの起業家出身。このチャンスを逃すなとばかり、ホイットマンをサブプライム・ローンの犠牲者を食い物にしたハゲタカ呼ばわりしている。ある専門家は、「政治はタイミングがすべて」と、この微妙な動向を観察している。

 一方のフィオリーナも、妙な具合である。今ひとつ、政治的な立ち位置が明確でないのに加えて、一昨年の大統領選挙で共和党の副大統領候補となったサラ・ペイリンの推薦の言葉を宣伝したり、銃保持者である夫のことを口に出して全米ライフル協会の支持を取り付けようとしたりしている。どうも、よく分からない感じなのである。

 ただ、この上院議員席を巡っては、共和党の対抗候補者に若干リード。とは言うものの、「まだ誰を支持するか分からない」という共和党員がほとんどのようだ。フィオリーナの選挙資金は、ローンで借りたものも加えて、これまで自腹で360万ドル(約3億3000万円)。

 日本の政治家も迷走中だが、アメリカの政治家もすみずみまで見渡すと腑に落ちないことがたくさん見つかる。ただ、違いをひとつ挙げるとすると、彼らには驚くべき体力があることだろう。大統領選などはもう6、7年がかりの運動だろうが、その間広い国土を縦横に飛び回って遊説を繰り返す。所属する党の候補になることが決まるのも、やっとその終盤戦においてである。

 ホイットマンやフィオリーナも、最近の日本の歴代首相よりはよほど体力がありそうではないだろうか。