PR

 「日本語入力はローマ字入力とひらがな入力のどちらがいいか?」と尋ねられたとき、皆さんはどう答えるだろうか。おそらく使い慣れた方を、「いい」と答えるのではないか。

 ローマ字入力派は、覚えるキーの数が少なく指の移動範囲が狭いから、早く入力できると言う。だが、母音以外は1つの文字につき2度または3度もキーを押す必要がある。他方、ひらがな入力ならキーを1度押すだけで文字が打てるので、早さだけならどちらとも言えないかもしれない。

小学校ではどう教える?

 では、小学校ではどちらの入力方法を教えるのか。これは、2011年(平成23年)度から完全実施される新しい小学校学習指導要領(国語)で答えが出されている。

 そこでは「第3学年においては、日常使われている簡単な単語について、ローマ字で表記されたものを読み、また、ローマ字で書くこと」が学習内容として掲げられた。学習指導要領の解説書には、コンピューターを使う機会が増えているので、これまでは第4学年で教えたローマ字を、今回の改訂では第3学年の事項とした、とされている。3年生から「総合的な学習の時間」が始まり、自分の課題を解決するためにコンピューターを利用する機会が増えたので、ローマ字入力を早めに覚えてしまいましょうということだ。

 学習指導要領の改訂に合わせて出されている「教育の情報化に関する手引き」でも、「ローマ字による正しい指使いでの文字入力(タッチタイプ)を身に付けさせるようにする」と、明確にローマ字入力を指定し、タッチタイプまで求めている。英数字を入力する機会が多ければ、キー配列を英数字のまま覚えられるローマ字入力に軍配が上がる。多くの学校では、今まで、3年生の時点ではひらがな入力を教え、4年生からローマ字入力を教えるという、苦しい指導をしていたと思う。だが来年度からは、すっきりとするはずだ。

 小学校3年生でローマ字入力なんてできるのだろうか、と疑問に思うかもしれない。これについては、筆者の体験から「できる」と断言する。

 前任校で筆者は図工の教師をしていた。単学級校になった期間があり図工の持ち時間数が少なくなったので、3年生以上の「総合的な学習の時間」を利用して、週に各学級1時間ずつ「情報」の学習を担当したことがある。そこで、思い切って文字入力は3年生からローマ字入力でやらせてみたのだ。

 実は、文字入力にこだわったのには理由がある。情報教育を始めたころは、文字入力は教えなくても必要になれば自然にできるようになるものだと考えて、全く教えなかった。確かに絵を描いたり、クリックして調べ物をしたりする分には問題なかったが、6年生でプレゼンテーション制作に入った途端、その考えは崩れた。子どもが表現したくても、1文字探してポンと1本指で入力するから、1時間の授業で十数文字しか打てない。これではプレゼンテーションどころではない。その体験から、パソコンの利用にはスムーズな文字入力が絶対条件だと考え、3年生からのローマ字入力に取り組んだのだ。

3年生でタッチタイプは可能

 4月、新3年生はパソコンの横に置かれたローマ字表を見ながら、おそらく意味も分からないままポツポツと入力をし始めた。ただ、ゆっくりでもいいからホームポジションにいつも手を置くことだけはうるさく言ってきた。すると10月ごろには、なんと4分の1程度の子どもたちがローマ字表を見ずにタッチタイプで入力するようになっていた。さらに翌年の3月になると、タッチタイプできる児童は8割に達した。次の新3年生もほぼ同じ結果になった。

 しかし、当時はローマ字の学習が3年生に降りるとは誰も考えなかったので、学校視察に来た先生から「そこまでやる必要があるのか」という質問をいただいたことがあったし、筆者自身も「過剰な指導かな……」という不安は持ち続けていた。だから、新しい学習指導要領の内容が発表になったときは、溜飲を下げたものだ。

 3年生から卒業までの4年間でタッチタイプを習得するという目標であれば、どの学校でも可能だろう。