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 も、目撃してしまった!

 ある金曜深夜、飲み会が終わり、帰宅途中の電車の車内だった。向かいの席にいるカップルの会話が耳に入った。男性は会社帰りのようなスーツ、女性はかわいいカジュアルな服装をしていた。彼女が包みからやや小さめのノートを取り出し、男性にこう提案した。

 「交換日記、しよ」

 こうかんにっき。懐かしい単語が頭の中でエコーのようにぐるぐると回った。

 かわいいじゃないか! すてきじゃないか! と胸がきゅんとなった。聞こえないふりをしてほかの乗客と同じようにスマートフォンをいじっていた。

 筆者の経験だと交換日記は中学生のときにちょっと流行したので、女友達との間でやったことがある。仲の良い友達と文房具屋に行って一緒にノートを選び、たわいもないことを交互につづり見せ合った。筆者が通った中学はとてもすさんでいたのでいい記憶がないが、この交換日記は数少ないいい思い出である。

 いいよね、交換日記。楽しいよね、交換日記。とはいいつつ、交換日記は女の子同士の交流では珍しくないが、男性の経験者は少ないのではないだろうか。

 実際、目の前の男性は言葉に窮しているようだった。

 その理由に彼がどんなものを心中に抱えていたか分かりかねるが、結論としては「やりたくねー」ではないかと想像する。