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 先日、「美術検定」を受けてきました。美術に関する知識を深め鑑賞眼を磨きたい人たちのための検定試験です。ここ数年、絵画展によく行くようになったのですが、知識のなさから十分鑑賞できていないと感じていました。もっと絵の背景にある歴史や文化を知れば楽しめると思ったのがきっかけです。検定試験の級数は1~4級まであり(1級が一番難しい)、今年は3級に挑戦しました。

 「この絵は誰が描いたのか」といった単純な問題も、超有名な絵ならともかく、見たことがなければ答えようもありません。参考書や関連書籍を買いこみ、通勤時間や週末を利用して勉強しました。絵や作者だけではなく、美術史全般も出題範囲です。はるか昔はラスコー壁画の時代から現代アートまで、主要な作品やその時代のほかの動きも押さえる必要があります。

 役立ったのがiPad。自宅での勉強に飽きたらカフェに持ち込み、参考書の図版が白黒だったり小さかったりしたとき、説明がよく理解できないとき、サッと立ち上げて検索。次々と表示してはカラーで確認する。細部を確認したければそれも思いのまま。文章を作らないので、キーボードは要らない。ノートパソコンのように場所を取らないし、ほかの書籍で重くなったカバンにも、あまり苦もなく入れられる。iPadの威力を実感しました。ビバ、iPad!

 19世紀に起こった、フランスの印象主義をおさらいしていたときです。印象主義の代表作品と言えば、水面に揺れる太陽の光を表現したモネ「印象・日の出」(1872)があります。誰もが「見たことある」と思う作品でしょう。この時代にチューブ入り絵の具が開発されたことで、印象派の画家達は戸外に出かけ作品に取り組めたと参考書にありました。

 「モバイルだ!」。そう、まさに、そのように理解したらしっくりきたのです。その時代以前は、アトリエで絵の具を調合し、作業するのが常だったそうです。印象派の画家は、画材技術の進歩の恩恵を受け、チューブ型の絵の具を懐に、気軽に外に飛び出していったのに違いありません。その姿は、私たちが同じ場所でしかできなかった仕事のスタイルから、ノートパソコン、あるいはスマートフォンを手にしてオフィスの外へ出て行く姿と二重写しのように私には感じられました。

 そして、19世紀の先進画家達は、光の移ろいといった、戸外に出たことで出合う新たなテーマに関心を寄せたのです。彼ら「モバイルユーザー」がすごいと思うのは、描き方のスタイルから実際の絵から、“従来通り”の殻を打ち破り、新たな表現方法の実現に邁進したから。そこに革新性があったのだと思います。

 それから100年以上たった21世紀。すでに多くのモバイル機器の恩恵を受けている私たちは、それなしの時代とは考えもつかない仕事の仕方や時間軸で生きています。であるならば、今ある“従来通り”をもっと打ち破り、新たなテーマを見つけていきたい。私たちにとっての“チューブ入り絵の具”は、かなりの種類となり私たちを待っています。それらから享受できる自由で、仕事や生活にどう新しい表現を取り込むか。それこそが大事なんだなあ、と思います。

 iPadは、「オトナの学習」にいいかもしれない。今まで興味があるなんて気付かなかった分野に、ちょっと足を踏み入れるのを後押ししてくれる。積極的なモバイルユーザーではない私が思い切って導入した、ささやかな“チューブ入り絵の具”となっています。今秋にはGalaxy SやGalaxy Tabをはじめとするスマートフォンやモバイル機器が続々登場してきます。みなさんにとっての“チューブ入り絵の具”は何ですか? それを使って、どんな絵を描きますか。