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 「詳細は以下のURLでご覧ください」。今や、こうした言葉を毎日のように見聞きします。今までは気にも留めなかったのですが、Webアクセシビリティの取材を始めて以来、意識が変わりました。企業の人材採用情報やイベントの告知、懸賞への応募要項など、Webサイトでしか提供されていない情報が多岐にわたることに、改めて気付かされています。

 実は、こうした情報に、どう頑張ってもたどり着けない人たちが少なからずいます。これまでも頭では分かっていたつもりでしたが、取材を通じて、問題の深刻さにがく然としているところです。

 私がアクセシビリティに関する取材を始めたのは、2010年に入ってから。それまでは、製品のユーザビリティ(使い勝手)についての取材経験しかありませんでした。アクセシビリティとユーザビリティは関連の深いテーマですが、取材のポイントは大幅に異なりました。

 ユーザビリティの取材先で追求されていたのは、“いかに使いやすくするか”というテーマでした。製品を見ただけで操作方法を理解できるデザインとはどんなものか、複雑な作業も戸惑わずにこなせるようにするにはどんなユーザーインタフェースを用意すべきか、といった課題です。

 Webアクセシビリティも、障害者や高齢者を含む誰もが使えるWebサイトを目指すという点では、使い勝手向上のための取り組みの一つと言えます。ただ、“使い勝手”以前に、そもそも“使える”ものにするために、かなりの配慮が必要なのです。

 使い勝手が悪いという言葉から連想するのは、使いにくい、使うのが難しい、といった状態でしょう。この場合、マニュアルを読み込むなど試行錯誤すれば、どうにか使えそうです。つまり、“頑張れば使える”可能性があるのです。しかしアクセシビリティへの配慮が不足しているサイトの場合は、“どう頑張っても使えない”ことが珍しくありません。

 例えば、色のみに頼った情報提供。ある施設の営業スケジュールを示したページで、「赤字は休業日です」と書かれていたとしましょう。色覚障害などのために色をうまく判別できないユーザーには、何日が休業日か分かりません。マウスポインターを重ねなければ表示されないメニューも同様です。手がふるえるなどの理由でマウスを使えず、キーボードのみでパソコンを操作しているユーザーは、どうしても開けません。そのメニューにたどり着く手段がほかに用意されていない限り、利用すらできないのです。

 こうした配慮不足は、生活に不可欠な情報を多く提供している府省や自治体のWebサイトであっても随所で見られます。例えば2010年6月に総務省の行政評価局が公表した調査結果によれば、国の行政機関のWebサイトの約9割に、何らかの問題が見つかっています。アライド・ブレインズが実施した自治体Webサイトの調査でも、「対応が十分」とされたのは全体の16%ほどにすぎませんでした。

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