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 アップルの新しいチャレンジがいよいよ明日(2011年1月6日)から始まる。iPhoneやiPadにはワンタップで購入からインストールまでできてしまうソフトウエア購入方法がある。それと同趣のMac向け枠組み、「Mac アップストア」が始まるのだ。まだその具体的な姿を見ていないが、これまで初心者を悩ませてきた「ソフトのインストール」が劇的に簡略化されることは明らかで、今から楽しみで仕方がない。プラットフォームが改善されれば、次は中身の拡充が求められる。アップルは2010年、日本市場においても極めて好調な営業成績を残した。これまで市場規模の問題で日本独自の市場開拓や環境整備に力を入れられなかった面もあったが、この調子なら環境整備にもっと力を入れられる状況になってきた。

2009年度比75%増の営業成績を達成

 2010年の会計年度、アップルの総売上高は約652億2500万ドルだった。前年度比52%増。そのうち日本のセグメントは39億8100万ドル、前年比75%の伸びだった。日本を除くアジア太平洋地域の伸びは160%という圧倒的な成長だったから、その成功に霞んだ感もあるが、2008年度比の32%増からすると大成長だ(図1)。

図1 2010年会計年度、アップルの日本市場における業績は好調だった。営業純利益は前年度75%増の39億8100万ドル。Mac関連販売台数が22%増の48万1000台だったのに利益増加が突出したのはiPhoneやiPadが伸びたからだ。これだけ貢献度が上がったのなら、日本のビジネスの成長戦略を描くため、日本法人が直接責任ある対応ができるようにビジネススキームを改革するべき時だ(アップルのアニュアルレポートから作成)。
図1 2010年会計年度、アップルの日本市場における業績は好調だった。営業純利益は前年度75%増の39億8100万ドル。Mac関連販売台数が22%増の48万1000台だったのに利益増加が突出したのはiPhoneやiPadが伸びたからだ。これだけ貢献度が上がったのなら、日本のビジネスの成長戦略を描くため、日本法人が直接責任ある対応ができるようにビジネススキームを改革するべき時だ(アップルのアニュアルレポートから作成)。
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 この成功で日本法人の存在感も増し、アップルの企業戦略に「日本独自」の立ち位置を認めてもらうには絶好のチャンス到来だ。

 iTunes Storeの音楽やビデオコンテンツの拡充がなかなか進まないこと、放送業界の理解を取り付けられないこと、そしてiBook Storeに日本の出版社を引き込むことができないことなど、日本市場に対するアップルの影響力が希薄なことは重要な課題として誰もが認識していることだが、なかなかこのビジネススキームに変革が起きない。

 つい先頃、社団法人日本書籍出版協会、社団法人日本雑誌協会、一般社団法人日本電子書籍出版社協会、デジタルコミック協議会の4団体がアップル日本法人に対し、著作権を侵害した書籍がApp Storeに並んでいることに責任ある対応を行うべしと抗議文を送り、交渉の場を持てと要求した。これに対して日本法人は、App Storeを牛耳っているのは米国のアップル本社だとして実質的な交渉は進んでいない。

 日本には独特の出版事情、放送事情や行政上の特殊性が存在する。決して世界に誇れる仕組みではないが、当面はこの枠組みで日本のビジネスが回っている。米国の商習慣、法律を前提にこの日本の特殊性を理解しようとすること自体無理がある。こうした障壁を乗り越え、コンテンツをそろえるには米国本社がリモートコントロールするのはそもそも無理がある。営業的にも日本市場の存在感が増している今こそ、この分野の主導権を奪い取るチャンス。

 こうした業務改革が進まない限り、日本でのコンテンツ拡充は望めないし、コンテンツビジネスは成長できない。ぜひとも、今年はこのスキーム改革に取り組んでほしいものだ。