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 ソニーは電子書籍閲覧用デバイス「Reader」を2010年12月10日、発売開始した。カラーでダイナミックな動きも表現できるiPadなどとは異なり、静的なモノクロ画面。E Ink(電子ペーパー)と言われる表示画面で、一度画面表示したものは電源供給がなくても画像が維持される。したがって、電池の消耗はきわめて少なく、300ページの文庫本約30冊が1回の充電で読み切れる、という。

読書機能に絞りきった潔さ

 電子書籍時代の到来を今か今かと待ちかまえ、ついにiPadがその最後の堰(せき)を切ってくれて感慨深いものを感じている者にとって、このReader、ぜひ確かめてみる必要がある。特に、Macユーザーが使うとどうなるのか? いまだに日本のiTunes Storeに楽曲の提供を拒んでいるソニーと、その関連会社が果たしてMacにどんな対応をしているのか確かめたいとも思ったからだ(図1)。

図1 軽くて薄い、持ち歩いて通勤電車の中や旅先で読むにはなかなか良さそうだ。今回使ってみたのは5型電子ペーパー搭載の「PRS-350」。
図1 軽くて薄い、持ち歩いて通勤電車の中や旅先で読むにはなかなか良さそうだ。今回使ってみたのは5型電子ペーパー搭載の「PRS-350」。
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 E Inkは白い紙に印刷したような表示が特徴で、確かに読んでいて目に優しそう、という感じがする。ソニーの表現では「紙のような白と墨のような黒で高コントラストを実現」とのことだが、実際に見ると「明るめのシルバーグレーに薄墨」といったところだ。また、バックライトがないために暗い場所では読めない。そもそも読書は暗がりでするものではない、というのが一般的な考え方だろうから、この部分はそもそもマイナスカウントするべきことではないかも知れない。

 リアルタイムに情報が飛び込み、1台あれば書籍購入も、アプリを追加しての機能拡張も自由自在、HDクオリティのビデオも楽しめる、メールをしたためたり文書作成にもアクティブに使えるというiPadに比べて全く対照的な静謐(せいひつ)な機器。音楽や写真、動画は相手にせず、ただひたすら書籍を読むための端末として特化しているその姿勢はある意味、潔いと言うべきだろう。今回使用した5型電子ペーパーを使った「PRS-350」はヘッドホンジャックもスピーカーも付いていない。読書しながら音楽を楽しむ、というシチュエーションは最も要望の多そうなスタイルだが、それさえ切り落としている。

 しかし、あれもこれもとできる機能の中から自分が欲しいものだけを選んで使うというライフスタイルに慣れてしまった身にはやはりちょっと物足りない。パソコンユーザーたるもの、無いものは作る、くらいの勢いで情報機器を使いこなしてきたものだから、こうしてできることが限られてしまうと手足を縛られた不自由さを感じてしまう。買った時の状態から進化しないというのも何とも悲しい。