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 北アフリカのモロッコには色鮮やかなベルベル絨毯(じゅうたん)がある。フランスの画家、アンリ・マティスも魅了されたという。そんな美術番組を見ていたら、意外なところに興味がわいてきた。

 絨毯の機織りは花嫁の仕事で、花嫁から実家に向けたメッセージが絵柄に込められることもあったのだとか。例えばラクダの絵柄だと婚家が裕福であることを伝え、花柄だと夫婦むつまじくやっていることを伝えたりしたそうだ。こうしたいい意味ならある程度一般化されているのだろう。

 逆に虐待など苦境を伝える絵柄もあったそうだが、それが何かは紹介されなかった。下手に露呈しては危険なので、こうした通信ルールは花嫁と実家の間のみの秘密だったのではないかと想像する。

 こうした暗号解読、ミステリーにはついつい興味がわいてしまう。

 一方、デジタルの世界の暗号化というと、暗号・復号はひたすら計算処理である。あまり創意工夫の入り込む余地はない。とは言え、広い目で見ると、暗号といえるようなものもある。

 まず思い浮かんだのがギャル文字。筆者は自由に使いこなせる“ネイティブ”ではないが、変換サイトを使うとそれらしきものを生成することができる。例えば、これ。

Tょωヵゝ∧ω

 読めるだろうか。かなり困難ではないだろうか。もちろん筆者も読めない。実はこれ「なんかへん」を変換したものだ。これで本当に通じるのか疑問である。ただこれを読むコツはなんとなく分かる。おおまかな形から本来の文字を類推することだ。

 例えば「Tょ」はアルファベットの「T」と「ょ」ではなく、この2つで「な」となる。同じく「ヵ」と「ゝ」で「か」だ。ちょっと引き気味で文字を眺めるといい。

 ギャル文字に限らず、文字を絵柄の一部としてとらえる「目」はネットのコミュニケーションでは必要な能力と言えるのではないかと思う。

 思えば筆者が最初にネットに遭遇したのはパソコン通信だった。最初は画面にあふれる「:)」や「(^o^)」といった顔文字に困惑した。まさに「ちんぷんかんぷん」だったのだ。次第に文字を形としてとらえる目を会得したのか、今ではこんな文字「(´д`)」を見ると、なんとなく安堵した人間の顔に見えるようになってきた。

 こうした顔文字の読解力、発想の転換はネットならではである。似たような事例は海外にもある。例えば1月始め、Twitterで以下の文字列が突然話題になった。さてこれは何か。

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