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 シリコンバレーに「再びのバブル」が起こっているという見方が強まっている。

 今回のバブルを牽引しているのは、もちろんフェイスブック、ツイッター、ジンガ、グルーポンなどのソーシャル系のインターネット会社である。いずれも非公開企業だが、人々の期待感から価値が高まっているのだ。

 フェイスブックは、1月に新たな資金注入を受けた際に500億ドルの時価総額になったことが話題を呼んだ。その後同社の非公開株が取引されている値段を元にすると、企業価値はどんどん膨らんでいるようだ。

 グルーポンは、グーグルが買収するといううわさが出回ったときの値段が60億ドル。そして、ツイッター、ジンガはそれぞれ40億ドル、50億ドルだ。前回のバブルで名を馳せたベンチャーキャピタル会社クライナー・パーキンズは、ソーシャル系への投資に乗り遅れていたが、最近になって高い金を払ってツイッターの投資家に名前を連ねるようになった。今回のバブルは、ベンチャーキャピタル各社が乗り遅れまいと血眼になって投資先を漁っているのが原因と言われる。

 それにしても、またあのバブル景気がやってくるのかと思うと、正直うんざりしてしまう。高速道路は混み合い、町中では駐車ができなくなり、レストランには予約が入らない。それ以上に、あたりの空気が浮かれた落ち着かない感じになって、方々から雑音が聞こえてくるような気配になるからだ。

 ここ数年の不景気はちょっと行き過ぎだったかもしれないけれど、シリコンバレーもしっとりと落ち着いた感じになって、テクノロジー開発という元来の強みに集中しているようなマトモな雰囲気に満たされていたものだ。前回のバブル崩壊の後に住宅バブルがやってきて、それがはじけて大いに苦しんでいるはずだったのに、またもやネットバブルに舞い戻るとは、何とも懲りない国民である。

 前回のバブルは、1995年ころから盛り上がって2000年くらいにはじけたのだった。あのときはいろいろ大げさな新興企業がたくさんできた。今でもバブル崩壊の象徴とされるのは、ウェブバンという会社。インターネットで注文すれば、生鮮食品や家庭用品などを配達してくれるサービスだ。何回か使ってみたところ、野菜や果物はピチピチと新鮮で、なかなかよかった。

 しかし、ほぼ全自動化されているようなすごい配送センターを建設したり、おしゃれな小型トラックをたくさん走らせたりして、多額な物流コストがかかり、これに売り上げがついていかなかったかたちだ。

 もうひとつは、ペッツドットコムという、ペットの餌などをインターネットで注文できるというサービス。こちらも、同じようにしかけの割には売り上げがいまひとつだったようだ。いずれも今なら十分に人気商売になりそうなものなのに、ちょっとタイミングが早すぎたのか。

 当時の新興企業と今バブっている新興企業を比べると、ずいぶんな違いがある。前回は、われわれの生活をインターネットで簡便にしようという目的を掲げた会社が多かった。だから、モノを動かす物流にかかわる部分があった。うまく生き抜いたのはアマゾンだろう。

 だが、今回は倉庫もトラックもなしに、インターネットだけで成立している。それも、以前ならば思いもよらなかったことを、やらせてしまうようなものばかり。5分ごとに、今自分が何をしているかつぶやいたり、どこかの店に入って「ここへ来ました」などと投稿したりすることが人生に必要になると、いったい誰が予想していただろう。

 少額で起業でき、しかも新しいソーシャルのアイデアは無限にわき起こってくるので、小さな新興企業がブクブクと生まれている。その中から“次のフェイスブック”を見つけようとして、みなが走り回っている。さて、この先何が起こるのか。戦々恐々、興味津々。