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なぎさホテルicon
著作:伊集院静
音楽:井上陽水
写真:宮澤正明
発行:エムアップ
価格:1000円

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 奇しくも1000円対決である。
 先週は映画「第9地区」、今週は伊集院静の自伝的エッセイ「なぎさホテルicon」。
 この2つの毛色の異なる作品が筆者のiPadの中に並んでいる光景は面白い。

 ピーター・ジャクソンという人がいる。『HALO』を映画化しようと思い、ニール・ブロムカンプに声かけたが、この計画はゲーム開発元のMicrosoftと予算面で折り合いがつかず、頓挫する。失敗にめげず、ピーター・ジャクソンはニール・ブロムカンプの短編自主映画「アライブ・ヨハネスブルグ」を長編化して商業映画として公開するプロジェクトを立ち上げた。なんという粘り強さだと思うが、結果としてこの映画が大ヒット、流れ流れて筆者のiPadの中に漂着したのだった。

 一方、「なぎさホテル」がiPadにやってきた経緯も面白い。伊集院静は思草社の自社PR誌『思草』の2001年6月号から9月号にかけて『海が見えていた窓辺 逗子なぎさホテル』を連載した。おそらく講談社や新潮社の自社PR誌に書いていたらすぐに書籍化されたのではないかと思われる。

 が、今回、この本をリリースしたのは思草社でもなければ他の出版社でもない。伊集院静は自らの手で電子書籍の可能性を試したいと思い、エムアップというIT系ベンチャー企業とタイアップして、電子書籍レーベル「デジタルブックファクトリー」を立ち上げた。「なぎさホテル」はその第1弾なのである。

 その前には、やはり人気作家の村上龍が「G2010」という会社を起こして、自ら「歌うクジラ」の電子書籍版を刊行している。

 小説家の仕事は、普通作品を書き上げたところで終わり、書籍作りから販売までは出版社が担当するが、電子書籍の場合、ワークフローが確定していない。そのため、早く前線に出たい、紙とは異なる可能性を追求したいと考える作家は自分から積極的に動くことになる。そのような経緯を経て、「なぎさホテル」は筆者のiPadに漂着したのだった。

App Storeで「なぎさホテル」をタップし、購入した。全15章の自伝的エッセイに、動画4本と井上陽水の歌。章ごとに宮澤正明の写真が入る。価格は1000円。
App Storeで「なぎさホテル」をタップし、購入した。全15章の自伝的エッセイに、動画4本と井上陽水の歌。章ごとに宮澤正明の写真が入る。価格は1000円。
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