PR

 「こういうのもSNS(ソーシャルネットワーク・サービス)よね」と感じるものに、ポットホール通報がある。

 ポットホール(pothole)というのは、路上の陥没のこと。あるいは、使いすぎて表面がガタガタになってしまったような道路なども、その類いだ。車の国、アメリカだけあって、ハイウェイ、ローカルな道路に限らず、ポットホールにはみな敏感だ。しかも、小さなものならば長い間修理されないでいるということも多くて、そこでSNSの登場となった。

 ポットホール通報にはいろいろな形態がある。私が最初に見たのは、サンフランシスコ地元紙「Chronicle(クロニクル)」の地元ニュース面である(紙の紙面でのこと)。市内のどこかにポットホールがあったり、あるいはそれに限らず、フェンスが壊れている、電線がぶら下がっている、といったような不具合があったりすると、それを市民がクロニクル紙に通報。それを同紙が確認し、同時に市の担当者の名前と連絡先を顔写真付きで掲載するのだ。

 しかも、壊れてから何日放置されているかというのも、「○日目」などと一緒に記載されている。いわば、メディアの力を借りて担当者に早く修理させようというものだ。放置期間「45日」などと書いてあると、無関係な私でも、その担当者の顔をジ~ッと見つめてしまう。一体何をやっているんだ!と。もちろんほかの読者もきっと電話などしているだろうから、担当者へのプレッシャーもすごいだろう。

 アメリカは、この手の地方行政関係の処理がのんびりしているので、こんなしかけがないとものごとが進まない。これまでならば、付近の住民や利用者だけが知っていたことを陽の目にさらして、スピードアップさせようというものだ。

 驚いたことに、サンフランシスコ市は最近、市のサービス要請の通報プロセスをフェイスブックのアプリにしてしまった。同市は以前から特別の電話番号やWebサイトで、ポットホールや落書きなどの苦情を受け付けていたが、サンフランシスコ市のフェイブックページにそれを統合し、簡単な作業で写真をアップロードし、ポットホールを通報できるようにした(こちら。この311というのがサービス要請通報アプリ)。アメリカでも最初のことらしい。

 ポットホールに関しては、「日刊ポットホール(The Daily Pothall)」というお茶目なサイトもある。笑ってしまいそうな名前だが、これはれっきとしたニューヨーク市のサイトだ。このサイトから、「ここの住所にポットホールがある」というのが簡単に通報できる。

 このサイトには、「2010年7月1日以来、25万1421件のポットホールを修理しました!」と書かれていて、ポットホールの修理はどうやって行われるものなのかも、漫画風の写真付きで説明している。

 こんな風にユーモラスにやってくれると、ポットホールに足を取られて怒っていても、がんばっているんだからとほほが緩むというものだ。

 ボストンの地元紙「Boston Globe」では、読者からのポットホール通報を地図にマッシュアップしている。いやはや、こんなにたくさんあるものかと驚く。これも市民情報として役に立つものだ。

 SNSというと、とかくお友達のネットワークを広げるといった機能に注目されがちだが、こんな開いた姿もおもしろく、かなり可能性を秘めたものだと思う。何と言っても、町に住む住民はネットワークを成している。こういう道具を使うとそれがよく見えるのだ。そして、こういうSNSのあり方は、今回の東日本大震災のような災害時にも有効に使えるのではないかと思えてならない。