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 しばらく、単行本執筆などで忙しく、この連載を休ませてもらっていたら大変な事態になった。3月11日の東日本大震災だ。この原稿を書いている3月23日現在、死者・行方不明者は2万5000人を超えた。犠牲者1人の向こうには、それぞれ複数の家族・親族の慟哭があることを思うと、絶句してしまう。また、生命は助かっても家・財産を失った多数の人々が避難所生活を続けていることを考えると、いたたまれない気持ちになる。一方で、東京電力の福島第一原子力発電所は、緊急炉心冷却装置が津波のために使用不可能になり大変深刻な事態が続いている。過熱した炉心からは放射性物質が漏洩しており、現場では事態を収拾するための必死の努力が続いている。

 今なお非日常の事態が続いている段階で、これから先のことを考えるのはなかなか難しいかもしれない。しかし、東北地方の太平洋側と北関東の被災地を除いた地域では、今現在も日常は続いている。既に、震災による経済損失の試算などが出ているが、ここでは「これからどうするのか」を考えてみたい。

 この大震災は、間違いなく「震災前」「震災後」を断ち切る、日本社会にとって大きな転回点となる。だから、直接被災しなかった私たちが考えるべきは、復旧、すなわち旧に復することではないだろう。ずるずると続いてきた過去のしがらみを断ち切り、よりよい未来指向の社会を興すこと、つまり復興ではないだろうか。