PR

 内閣府は2011年2月、2010年(平成22年)度「青少年のインターネット利用環境実態調査」の結果を公表した(http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/)。同調査は、青少年のインターネットやフィルタリングの利用状況などを調べており、2010年9月1日から20日に実施されたもの。注目すべき点は、青少年だけでなく、その保護者も調査対象にしているところだ。全国の10歳から17歳までの青少年1314人とその保護者1400人を対象に、面接方式で調査を行っている。今回はその中から、携帯電話の利用実態に関する主なデータを紹介しよう。

 まず、携帯電話の所有率は、小学生で20.9%、中学生で49.3%、高校生で97.1%となっている。高校生は予想通りの高い結果となったが、小中学生の所有率が意外と少ないのは、全国を平均したためと思われる。都市部ではもっと多いだろう。

 メールの使用やサイトへのアクセスを含む携帯電話でのインターネット利用時間は、平日の平均で小学生が21.6分、中学生が61.2分、高校生が 88.2分。学校種が上がるにつれてどんどん増えていく。高校生では、2時間以上インターネットを使っている子供が27%もいる。これでは学習や生活に影響が出るのも無理はない。問題は、保護者がそのことを知っているかだ。

 携帯電話のフィルタリング使用率は小学生77.6%、中学生67.1%と高く、高校生では49.3%に下がる。これは、発達段階を考えると自然だろう。一方、携帯電話の使い方に関して、何らかのルールを決めている家庭は全体の69.2%と高い。高校生で見ても62%に上る。ただ、ルールの内容として最も多いのが「利用料金の上限を決めている」(32.5%)というのは少し残念である。マナー面や心情的な面でのルールを決めてほしいものだ。

 携帯電話を持っている子供でメールを利用しているのは、小学生で85.6%、中学生で95.5%、高校生が99.1%と高い。パソコンでメールを使っている子供が小学生で4.8%、中学生で18.4%、高校生で22.3%と少ないことを考えると、子供たちの間では、メールといえば携帯電話ということになる。

 インターネットを介したトラブルの経験では、「チェーンメールが送られてきたことがある」が26.5%で最も多い。次に「自分が知らない人や、お店などからメールが来たことがある」が10%、「夜遅くまでインターネットにのめりこんで睡眠不足になることがある」が9.3%。チェーンメールや迷惑メールに対する教育と、自分をコントロールする指導が求められていることが分かる。

成果は出ているが課題も

 こうしたインターネットの危険性について説明を受けたり学んだりした経験としては、「学校で教えてもらった」が80.5%と非常に多い。情報モラル教育が普及してきた成果だろう。ただし、次にくる「親(保護者)から教えてもらった」は22.1%とぐっと低くなる。学校を通じて保護者への啓発資料をずいぶん配っているが、まだまだ周知が足りないということだ。

 筆者は、2005年度に警察庁が行った、青少年のインターネット利用調査の委員をしたことがある。その調査も今回と同様、保護者と青少年を対にして行い、結果として青少年の利用実態と保護者の認識に大きな“ずれ”があることが分かった。例えば、オークションを利用している子供の保護者で、子供が利用していることを知っているのは、わずか4%しかいなかった。自分の子供がホームページを持っていることを認識していた保護者は40%だった。

 今回の結果を見ると、その差はずいぶん縮まっており、社会全体で取り組んできた情報モラル指導の成果が出ているといえる。しかし、保護者への啓発がまだ課題として残っている。その役目は、多くの保護者を集められる学校が担うしかないだろう。

 保護者会や安全教室で取り上げたり、講師を呼んで講演会を開いたり、啓発のプリントを配布したり、考えればもっといろいろできるはず。東京都では保護者がルール作りのコツを学ぶ「ファミリeルール講座」を実施しているので、都内の学校にはお薦めである。課題解決は、学校が本気になるかどうかに懸かっているのだ。