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 東日本大震災の後、計画停電の実施などにより、にわかに注目を集めたのがUPS(Uninterruptible Power Supply)です。日本語で言えば「無停電電源装置」。何だかこう聞くと、UPSを付けてさえいれば東京電力が実施する計画停電でもへっちゃら、という感じがしますが、実際にはそううまくはいきません。

図1 UPSの仕組みと接続方法
図1 UPSの仕組みと接続方法
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 UPSは通常、内蔵の充電池に電力を蓄えておきます。いざ停電というときに、内部の電池から商用電源と同じ交流100Vを生成して、商用電源から切り替えて電力を供給します(図1)。つまり、内蔵する電池の容量分しか電力を供給できないのです。夏場に電力の負荷が高まり、ごく一部の地域で一瞬電力が切れる場合があります。いわゆる「瞬断(瞬停)」です。こういった停電に対して、UPSは効果的ですが、計画停電のような数時間にもわたる停電には対応できません。

 もともとUPSは、停電が発生した際に、システムを安全に停止させるための時間を稼ぐためのものです。そのためのユーティリティーソフトなども付属するものが多いです。従って、最大負荷時で数分程度の動作ができるように設計されています。逆に言えば、UPSを選択する際の最大の基準が、この「負荷」を賄える容量ということになります。UPSの出力容量はたいてい「VA」で表記されていますので、大体目安としてはその値×0.6程度の消費電力(W)であれば使えることになります。

 このようなUPSではありますが、欠点もあります。それはUPSが充電池の固まりであること。充電池は一定時間が経過すると必ず劣化してきます。このため、定期的に電池の交換が必要になります。これを怠ると、肝心なときに十分な電力を供給できないことがあります。しかも、交換用の電池が結構高価です。

 電池は化学反応で電気を蓄えるので、化学的に活性化していないと十分な能力を発揮できないことがあります。例えば、編集部に貸出機として送られてきたUPSは、1年くらい倉庫で眠っていたものでした。電池を接続してみたら容量ゲージがほぼ一杯だったので、そのまますぐに試したところ、負荷の50%程度であっさり電力の供給に失敗してしまったことがありました。これで放電と充電を実施したことになって化学的に活性化されて、その後は同程度の負荷でも供給できました。

 重さにも注意してください。1200VAくらいのUPSとなると、かなりの重量になります。うかつに中腰で持つと、腰を痛める危険があります。550VAくらいなら、まだ片手で上からつかんで持ち上げることができなくもないですが、かなりキツイです。

 考えてみれば、交流で供給された電力を直流に変換して電池に蓄え、そして停電時に電池の直流を交流に変換して商用電源の代わりにしているわけですので、とても効率が悪いですよね。そこで直流給電という話が出てくるのですが、伝送効率や安全性の面から、なかなかそこにはたどり着けないようです。

 最新UPSの選び方とカタログを日経WinPC 6月号に掲載しました。特に自作パソコンに多い消費電力が高めのパソコンで、安全に使えるかテストしました。ぜひご覧ください。

■変更履歴
公開当初「特に自作パソコンに多い省電力が高めのパソコン」としていましたが、「特に自作パソコンに多い消費電力が高めのパソコン」の誤りでした。本文は訂正済みです。[2011/5/23 13:45]