フレンドスターが、ビジネスモデルをすっかりと変えるのだという。
そんなニュースを聞いて、「フレンドスター、フレンドスター。どこかで聞いた名前だが……」と、もやのかかった記憶の中を手探りした。
そうして思い出した。実は、フレンドスターこそ、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の草分けと言われるサイトなのである。
創設は、2001年。あのMySpaceも、あのLinkedInにも先駆け、もちろんFacebookなどまったく知られていなかったころに、友達や家族、いろいろなグループを結ぶためのサイトとして登場したのだ。
「変なサービスが出てきたものだ」と思いながら、アカウント登録くらいはやったかもしれない。だが、その後すっかりその存在を忘れていた。
それから10年。その間、LinkedInが話題になり、MySpaceが人気を呼び、そうこうするうちにLinkedInが下火になって、Facebookが登場し……、とSNSの間で数々の果たし合いがあった。現在は、ビジネスユースとして再度盛り上がっているLinkedInと、「誰でもお友達」流のFacebookが揺るぎないSNSの二大勢力として市場を二分している。
MySpaceは、ニュースコープという大きな力を背後に持ちながら、見る見るうちにFacebookに抜かれてしまい、今は音楽好きたちがこじんまりとまとまっている感じだ。一方のFacebookは、5億人のユーザーを抱え、日本でも今、山火事のごとく拡大中である。
フレンドスターのユーザー数は、5000万人ほどだったという。Facebookの10分の1。SNSとはうまくできた商売で、人が集まっているところに加わらないと、そのうま味が味わえない。かくして、ある時期から一気にみんながFacebookを使い始めて、他のSNSサイトはほとんど意味をなさなくなってしまったのだ。
フレンドスターも、もうこれ以上やっても勝ち目はないと思ったのだろう。今後は、エンターテインメントを核として、もっと違ったSNS流のサービスを提供するのだという。既存のユーザーには特別のアプリケーションをダウンロードして、自分の写真やブログなどのデータをすべて取り込むようにと知らせている。5月末には、サーバーからすべてのデータが消去されるのだという。