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 英国の議会政治がご専門で、東海大学の同僚である秋本富雄先生が、ロイヤルウェディングで大騒ぎしているロンドンからメールをくれた。これからウェールズの首都カーディフに向かうという。

 おそらく秋本先生は、キャサリン妃の美しさや、若いのに全然緊張しない立派さや優雅さに、テレビの前でうっとりしていた僕とは違っていたのだろう。きっと、副首相で自由民主党のクレッグが、保守党と連立政権を組むうえでの条件として提示した選挙制度に関わる国民投票が実施されるので、その様子をさぐりに来られたに違いない。

 英国では2010年5月に総選挙があった。2大政党制は究極の多数制として日本でも話題になっているのだが、先の総選挙では新たなる第3極の自由民主党が大活躍して、その得票率は労働党とほぼ並んだのである。伝統ばかりが目につく国なのだが、この国は意外にも、しょっちゅう、ちょこまかと改革を試みる。

 英国は単純小選挙区制、つまり1つの選挙区で得票数最多の者が1人だけ当選する。イングランドは保守党、スコットランドは労働党などと、各地域では伝統的に強い政党が決まっている。だから自由民主党は、全体では大量得票だったにもかかわらず、獲得できた議席数は労働党の4分の1にとどまったというわけである。当然のことながら、与党となった自由民主党は、得票数が議席数に反映するAV(Alternative Vote:順位指定投票制)の導入を主張している。だが、そう簡単に変わらないのも英国のようである。

 ここのところBBC(英国放送協会)は忙しく、ロイヤルウェディングの大特集を放送したかと思ったら、ビン・ラディンが殺されたと速報を流し、積極的に介入している中東情勢を伝えながらも、今度は国民投票というわけである。英国はビッグニュース目白押しで実にめまぐるしい。

 めまぐるしいのが嫌いで、田園風景や地方の街が大好きな僕はロンドンから遠く離れてカーディフに滞在中である。秋本先生は英国に詳しいからちょうどよい。今晩は一杯付き合っていただいて、いろいろと英国事情を教えてもらおうと企んだのである。夕方から、こちらは5月なら夜10時頃まで明るいので、夜中の12時過ぎまで飲んでしまったものだから、そのうち調子に乗って明日は僕がカーディフの街をご案内すると言ってしまった。

 翌日、ここがウェールズ議会と案内したら、議場はここじゃなくてベイにありますよと、やっぱり僕の方が案内される始末となった。ベイエリアは街の中心からバスに乗って5分ほどで到着する再開発エリアである。そこに異様なガラス張りの建物がドーンとある。それがウェールズ議会の議場だ(図1)。

図1 ウェールズ議会のバーチャルツアーのページ
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