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 グーグル、フェイスブック、大手PR会社、そしてジャーナリストを巻き込んだ、「あきれた」騒ぎがあった。

 ことの始まりは、5月初旬のこと。大手のPR会社として知られるバーソン・マーステラが、いろいろなメディアのジャーナリストにコンタクトを取り、「グーグルのサービスがどれほどプライバシー侵害をしているか」を説得し始めたのである。

 ここで述べられているグーグルのサービスとは、「ソーシャルサークル(Social Circle)」のこと。Gmailのアカウントに、FacebookやFlickr、Twitterなど、他のソーシャルネットワークでの自分のアカウントをリンクしておくと、検索結果に友達らの言及したコンテンツが表示されるなどといったことだ。

 例えば、パリ旅行の予定があって、グーグルで情報を集めていると、その中に自分のソーシャルネットワークの友達が持っている情報も一緒に表示されるといった具合だ。また、友達の友達が誰なのかも表示される。

 バーソン・マーステラは、これらはユーザーの知らないままに個人情報が勝手に公開される、大変なプライバシー侵害だと訴えたのだ。そして、御社のメディア、あるいは寄稿しているメディアでぜひ取り上げてはどうだろうと強く勧めたのである。

 同社がコンタクトを取った中に、あるセキュリティ専門家がいた。同社と2、3のメールをやりとりしたこの人物はこう質問した。「いったい、あんたの会社に金を払ってこんなことをさせているのは誰?」

 確かに、PR会社というのはクライアント企業の製品やサービスについて熱心に情報を提供することはあっても、ある企業を狙って、その欠陥をあげつらうことはあまりない。専門家は、背後に誰かがいるに違いないと疑ったのである。

 バーソン・マーステラからは、「今は明かせない」という返答しか来なかった。ムッとして、このセキュリティ専門家はメールのやりとりをインターネットで公開してしまったのである。それを見ると、いかにグーグルが問題かが理路整然と説明されており、さらにさまざまな参考リンクまで付け加えられている。

 いい加減なジャーナリストならば、これにだまされて記事の1本や2本、書くこともできただろう。メールには、大手新聞Washington Postや、人気のオンラインメディア、Huffington Postに意見記事を書くのはどうだろう、何ならそのコンタクトもお手伝いし、記事もゴーストライティングしましょうとまで書かれているのである。

 同じころ、アメリカの大手新聞、USA Todayにも接触があった。同紙はいろいろ調査した後に、この見方がソーシャルサークルを過剰に問題視しているとして、「PR会社が反グーグル・キャンペーンを張っている」ということ自体を記事にした。その中でも、バーソン・マーステラがクライアント会社名を明かさないことが記されていた。当然ながら記事の掲載後、そのクライアント会社とはアップルのことか、はたまたマイクロソフトかと、ちまたではあれこれの説が飛び交ったのである。

 ところが、別のオンラインメディアであるDaily Beastが追求するに至って、それがフェイスブックであることが明らかになった。最初にバーソン・マーステラが、そしてフェイスブック自体がこれを認めることに……。怪しいキャンペーンの犯人があぶり出されたというわけである。