7月に新登場したMac OS Xの最新版、Lionの使い心地はいかが? 目玉は「フル64ビット」「iCloudとの連携」「シンプルな使いやすさ」「オートセーブ」などなどたくさんあるが、いずれもなかなか実感しにくいアイテムだ。iCloudはまだ始まっていないし、オートセーブに対応したアプリがまだ少ない、など夢先行型の新機軸が多い。逆に、シンプルさの代償として「スクロールバーがなくて不便」「ディスクの空き容量表示がなくて不安」などといった誤解に基づくクレームも飛び交っていて、これはちゃんと説明しておかなければならないな、と筆を取った。
情報表示が少ない
Lionは余計なものはそぎ落とし、シンプルな装いを求めている。その結果、画面全体はあっさりとしたもの。例えば、この図はアプリケーションフォルダーの中をアイコン表示にしたものだが、パソコン、特にMacに詳しくない人がこれを見ただけでは「アプリケーションフォルダの中には12個のアプリがあるんだな」としか思えないだろう(図1)。
本当はこの中に43項目もあって、このフォルダー内表示はその一部がちょっとだけ見えているのだ、ということが図1からは全く分からない。確かに余計なグラフィックス要素がないから画面上はすっきりして美しい。しかし、コツを掴むまでは取っつきにくいくらいそっけない。図1の画面の中にカーソルを入れ上下左右に少しだけ動かしてみると、忽然とスクロールバーが現れ、この12個のアプリ以外に右側にもう一列程度、下方向にもう3画面分くらいのアプリが並んでいるのだなと推測できる(図2)。
図1と2を比べたら美的なのは図1の方だなと、私などは思ってしまうが、一般の人はそうでもないらしい。少々表示要素が多くてもひと目で状況が把握できた方がよいと思う人も多いようだ。私がITC機器のアドバイスをしている人の中にもそういう反応をする人がおられる。「Lionはスクロールバーがなくて不便。ディスクの残り容量が分からなくて不親切」という意見だ。しかし、ちょっと待って。Lionには、そうした要望にも応えられるようにあらかじめ用意がある。例えば、こんな具合にスクロールバー、フォルダー内のオブジェクト数、ディスクの残り容量などはちゃんと表示させるオプションが用意されているのだ(図3)。