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 アップルの企業成長の要として精神的に牽引してきたスティーブ・ジョブズが第一線を退いた後、初めての新製品発表会で「iPhone 4S」がデビューした。iPhone 5でなかったのが残念だったが、デスクトップパソコン、モバイル機器を統合させてユーザーに豊かなデジタルライフをもたらしてくれる統合環境の基盤作りがいよいよ佳境に入ったという意味で、今回の発表は重要だった。日本のユーザーにとってはソフトバンクモバイル1社独占販売だった窮屈な販売体制にもう1本の道が拓け、選択の幅が大きく広がった、という点でこれまたエポックとなった。しかし、一方で、米国ではデジタルコンテンツ配信の世界が大きく広がっているのに、日本のサービスは停滞し続け、その差は広がる一方となった。実にほろ苦い新製品発表だった。

CPU性能の大幅な向上が気持ちよさを生む

 米国時間の10月4日午前に、発表はスティーブ・ジョブズの後を継いでCEOになったティム・クックが行った。落ちついた語り口は、緩急自在・ドラマティックに盛り上げるスティーブのスタイルとは打って変わったものだが、相手にきちんと分かってもらおうと丁寧に語るその姿はアップルのこれからの着実な成長を物語っている。

 発表の様子は米国アップルのホームページで配信されている。ビデオはHDクオリティーで、画面サイズいっぱいに表示させると、細部までくっきりと確認でき、臨場感がある。このビデオはPodcastでも配信されている。しかし、その場合はビデオ解像度は640×360ピクセルに下げられているので、ネット環境が整っているなら、アップルのサイトで視聴するのがお薦めだ(図1)。

図1 10月4日、アップル本社ビルで行われたiOS 5、iPhone 4Sのプレゼンテーションのステージに立った同社の新CEO(最高経営責任者)、ティム・クック(以下、すべてアップルがホームページで配信しているビデオより)。
図1 10月4日、アップル本社ビルで行われたiOS 5、iPhone 4Sのプレゼンテーションのステージに立った同社の新CEO(最高経営責任者)、ティム・クック(以下、すべてアップルがホームページで配信しているビデオより)。
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 事前に流れた噂情報から、iPhoneの次期モデル「iPhone 5」なのではないか、と期待したが、基本スペックはそのまま、デュアルコアのA5 CPUという強力なチップに置換えて処理能力を高めた製品だった。ディスプレイの解像度(960×640ドット)、サイズ、筐体のデザインなどはiPhone 4を踏襲して原則同じものだが、ディスプレイの表示速度、データ処理能力の大幅な向上で快適性はぐんと向上する。特に、画面表示のスピードアップは、操作感にリアルな感触を盛り込むことができて、iPhoneの使い心地がさらに心地良いものになるはずだ(図2)。

図2 今度のiPhone 4SはCPU性能で2倍、グラフィックス描画速度は7倍速くなっていると説明するワールドワイドプロダクトマーケティング担当のフィル・シラー上級副社長。
図2 今度のiPhone 4SはCPU性能で2倍、グラフィックス描画速度は7倍速くなっていると説明するワールドワイドプロダクトマーケティング担当のフィル・シラー上級副社長。
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