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 ドビュッシーのノクターンが無性に聴きたくなる時がある。先週はそんな気分だった。久しぶりに豊かな音場に包まれて心が満たされる思いだったが、こんな豊かな経験を届けてくれるのもスティーブのおかげだなあ、と、また彼の遺してくれたものに思いを馳せることとなった。改めてその世界が素晴らしいと感じたのはAirPlay。思い付いた時に、手元にあるデバイス、iOS端末ないしはiTunesが動いているパソコンで音楽を再生させ、それを家庭内の別の機器に送って再生する。iPhoneの内蔵スピーカーではさすがに音が貧弱だが、リスニングルームの本格的ステレオセットに送ってやれば、豊かなサウンドに身をゆだねられる。

任意のiOSデバイスからオーディオセットへストリーミング

 AirPlayとは、iTunesやiOSデバイスで再生している音楽やビデオを、家庭内でつながっている機器にストリーミングして再生する仕掛けだ。そんな仕掛け、最近のデジタルテレビでは当り前の機能じゃないの、と感じる人も多いだろうが、その自由度たるや、アップルならでは、というか、スティーブならではの強引さが結実した結果なのだな、と実感する。

 音楽を聴くのに、ユーザーに制約を感じさせないこんな仕掛けが用意してあることがつくづく素晴らしい。自分の気に入ったライブラリをiPhoneでもiPadでもiPodでも、自由にコピーしてシチュエーションに合った機器上で再生できる。再生可能なのは同一ユーザーで5台まで、という制約はある。しかし、それは著作権侵害を防ぐ当然の制約で、それ以外には何の制約もない。コピーや移動は自由、ハードディスクのクラッシュに備えてもう1台大きな容量のハードディスクを用意して、そこにバックアップしておく、といった操作が自由にできる。こんなことがレコード会社、映画会社の反対を押し切ってできるようになったのはスティーブのおかげだ。

 しかも、小さなiPhoneで再生させていても、音が出て来るのはAirPlay対応の再生機器からだ。しっかりとした再生装置から音楽やビデオを再生すると、そのコンテンツが本来持っているオリジナルの品質を100%引き出して、リアルな音場を楽しめる。携帯機器側から再生装置に向かって能動的に音楽をロスレスで飛ばせるのは現在のところiOSデバイスだけ。ビデオは帯域に応じて最適化が図られるが、携帯機器側から送信コントロールできるのはiOSデバイスならではだ。

 AirPlay対応の機器には、AppleTVや無線LAN装置のAirMac Extreamなどがあるが、良い音を存分に鳴らすには十分なパワーを備えたアンプとスピーカーが必要だ。今回紹介するのはデノンの統合型AVレシーバー「AVR-3312」だ(図1)。

図1 AirPlayに対応したデノンのAVサラウンドレシーバー「AVR-3312」。195W(6Ω、JEITA)全7チャンネルディスクリート構成パワーアンプ、32ビット処理のDSP搭載。MacやiPhoneに納められた音源から100%オリジナルサウンドを引き出すことができる。
図1 AirPlayに対応したデノンのAVサラウンドレシーバー「AVR-3312」。195W(6Ω、JEITA)全7チャンネルディスクリート構成パワーアンプ、32ビット処理のDSP搭載。MacやiPhoneに納められた音源から100%オリジナルサウンドを引き出すことができる。
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 前回、「iPhone、iPadをもっともっと「よい音で」楽しもう」で紹介した時は「オーディオ中級者向け」のAVR-1612(5万400円)だった。残念ながらその時には、肝心のiOS用リモコンアプリがうまく動かなかったので、今回はそのリベンジ評価。せっかくなので、さらに上位機種のAVR-3312(13万1250円)を試してみた。