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 米ラスベガスで一般消費者向けの家電製品を展示するトレードショー(2012 International CES)が始まった。海外勢、特に韓国企業が革新的なハード/ソフト/サービスを打ち出しているのに対し、日本勢は意気が上がらないと言う。さもありなんだ。日本の場合、権利を保有する企業がコンテンツを囲い込み、ユーザー環境をもがんじがらめに固めてしまっているから、メーカーは利用者が楽しめる環境、サービスが生み出せない。当然の帰結として新しい体験を提供するハードも、サービスも発想できず、これまで通りの製品の延長にしかなり得ない、という図式だ。iTunes Storeなど海外では快進撃しているサービスが日本ではそこそこのレベルにしか成長せず、iBooksに至ってはまだサービスも始まっていないというのを見るにつけ、電子機械産業全体が沈むのも当然かなと、新年早々嘆息しきりである。とは言え、アップル周辺の噂は「iPad 3」がもうすぐ出るとか、その先のiPad 4も控えていると、にぎやかだ。

iCloud完成の年に

 iPad 2の購入をスキップしている私としては、早くiPad 3が出てほしいところだが、それよりも昨年登場したiCloudの充実がとにかく待たれる。こちらは秘密のベールの彼方にあるハードとは異なり、故スティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)が病を押して発表の壇上に登って自ら熱弁を振るったサービスだ。「MobileMeとは違って、しっかり動くよ」と太鼓判を押してくれたサービスだけにこの全体像が早く完動してほしいのだ。

 超目玉のiTunes Matchは既に海外では動き始め、大いににぎわっているらしいが、日本では実現に時間がかかりそう。本サービスに入れないのは日本の商習慣や著作権法のしがらみに拠るもので、ユーザーは地団駄を踏むしかない(「iCloud、iTunes Matchは日本では実現不可能?」)。本当に残念ながらこれはしばらくお預けしておくことにして、もう一つの「Document in the Cloud」が待ち遠しい。これは「Pages」や「Keynote」などのアプリで作ったドキュメント類をiCloud経由によりデバイス同士を同期させる技術。共同作業を行っているような時に、どちらかが変更を加えると即座に別の端末のドキュメントがアップデートされるという仕組みだ。

 この機能、iOSデバイス同士なら既に稼働しているものの、肝心のMacとの連携がまだできていない。文書作成はやはり、ラップトップやデスクトップパソコン上でやらざるを得ないため、Macがこの輪の中に入っていなければ、著しく効率が落ちる。現在のところ、Mac上のPagesやKeynoteからは「iWork.com」というWebサービスを経由してやるしかない。iiCloudのサービスに比べると1世代前と言える仕組みで、ファイルをアップロードし、修正を加えるならそれをダウンロードしてから、という実にまだるっこしい手順を取らなければならないのだ。しかも、このサービス、いまだに「β」の文字が取れずに、ユーザーは本当にこれを使っていていいのか? と不安になってしまう(図1)。

図1 iOSデバイスで動いている「Pages」や「Keynote」などのiWorkアプリはiCloudを通じてリアルタイム同期ができる。しかし、Mac上のiWork書類はこのiWork.com経由でしかやり取りできない。しかも、このサイト、いまだにβの表示が取れないでいる。大丈夫か?
図1 iOSデバイスで動いている「Pages」や「Keynote」などのiWorkアプリはiCloudを通じてリアルタイム同期ができる。しかし、Mac上のiWork書類はこのiWork.com経由でしかやり取りできない。しかも、このサイト、いまだにβの表示が取れないでいる。大丈夫か?
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 推進者がいなくなったからと言って、忘れ去られてはいないんだろうな?