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 2月22日、日本向けiTunesのサービス内容がぐんと向上した。(1)携帯電話回線で楽曲が買えるようになり、(2)全楽曲が高音質化・機器ごとの再生制限が撤廃されるiTunes Plusに対応し、(3)一度購入したものは手元のデバイスから削除してしまってもいつでも無料で再ダウンロードできる「iTunes in the Cloud」に対応し、(4)楽曲の着信音販売、(5)アーティストが意図した通りの音を再マスタリングした「Mastered for iTunes」、(6)ばらばらに買った楽曲でも差額だけでアルバム全部をまとめて購入できる「コンプリート・マイ・アルバム」。音楽愛好家にはたまらないサービス向上だ。これなら思わずポチッと楽曲を買い込んでしまう衝動がますます頭をもたげてきそうだ。

 これら新機能は海外では既にサービスインしていたものだが、日本の商習慣の壁や著作権者の抵抗などもあり開始が遅れていた。こんなに購買意欲をかき立てるビジネススキームに必死になって抵抗する日本の音楽業界って、全くどうかしている。米国では今年のグラミー賞で故スティーブ・ジョブズ氏に「iTunesやiPodなどの発明を通じて音楽の流通・購入の形に革命をもたらした最大の貢献者」として特別功労賞の一つ「トラスティーズ賞」を贈った。それとは対局にある、日本におけるこうしたスタンスには首をかしげたくなってしまうが、いかがだろう。

 これまで、日本のiTunesでは楽曲を提供していなかったソニー・ミュージックエンタテインメントが洋楽に限って配信を始めたのも朗報だ。マイルス・デイビスなどジャズの名盤がたくさん登場してきたし、マイケル・ジャクソンなど人気ポップスターの楽曲がようやくリストに上がってきたのは、ファン待望の動きと言えるだろう。しかし、まだニーズの高いJ-Popなど邦楽は提供していない。数年前、同社幹部にインタビューした時、「自社で価格設定できない配信システムには音楽は提供したくない」と苦々しくその理由の一つを匿名を条件に話してくれたことがある。今でも邦楽が配信にこぎ着けていないのは、こうした思惑がいまだに解決していない、ということなのだろう。