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 前回、新しい学習指導要領では、いろいろな教科で情報教育を行うようになったというお話をしました。

 小学校、中学校、高校と進学するにつれ、子どもたちに求められる情報活用能力のレベルは上がっていきます。今回は学校教育における、その具体的な指導場面についてお話しましょう。

小学校では“慣れ親しむ”から具体的な技能の習得へ

 小学校の学習指導要領ではこれまで「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、適切に活用する学習活動を充実する」というものでした。しかし、多くの場合が“慣れ親しむ”に終始していたという反省を踏まえ、改訂学習指導要領ではより具体的な習得目標を示しています。慣れ親しむところから始めて、キーボード入力、ファイル操作、インターネット閲覧、電子メールなど、かなり具体的な情報活用手段を小学校卒業時までに身に付けることを求めています。例えば、キーボードのローマ字入力に対応できるよう、これまで4年生で始めたローマ字の学習を3年生から始めることになりました。

図1 社会科の調べ学習の例。必要な資料(情報)を検索・収集する、分析・選択する、検討・吟味する、加工・整理する……という能力を身に付ける。インターネット利用だけではなく、デジタルカメラやビデオカメラ、ICレコーダーを使って取材したりインタビューしたりすることも情報活用と言える(出典:文部科学省<a href=「教育の情報化に関する手引」の第4章「情報教育の体系的な推進」(P.18、PDF形式)">
図1 社会科の調べ学習の例。必要な資料(情報)を検索・収集する、分析・選択する、検討・吟味する、加工・整理する……という能力を身に付ける。インターネット利用だけではなく、デジタルカメラやビデオカメラ、ICレコーダーを使って取材したりインタビューしたりすることも情報活用と言える(出典:文部科学省「教育の情報化に関する手引」の第4章「情報教育の体系的な推進」(P.18、PDF形式)

 必要に迫られると子どもたちは覚えるのが速い。ローマ字の習得はもちろん、キーボード入力もちゃっちゃっとできるようになります。ICT(情報通信技術)機器も、ちょっと使っただけですぐに操作に慣れてしまいます。ただし、集めた情報をどのように選択するか、正しいか否かをどのように判断するか、それらをどのように整理してまとめるか、さらに情報に対する責任(著作権や個人情報などへの配慮)等を指導するのは教師の役割です。

 算数科ではどのような活用があるでしょう? 数値の入った資料を整理するとき、表組みやグラフを使った表現が便利です。みなさんも、小学校で棒グラフや円グラフを学んだことを覚えているでしょう。このとき、表計算ソフトを使えばきれいなグラフが簡単に作れます。このことから子どもたちはICTの「便利さ」を学びます。

 平面図形や立体図形の変形や切断はコンピューターによるアニメーション機能を使えばよく理解できます。アニメーション等を使わないで見通しを立てる能力も大事ですが、理解が難しいというそもそもの“問題”を解決するためにICTが役に立つことを知ることも重要です。つまり、教師がソフトを使って分かりやすい授業を行うことで、子どもたちがコンピューターを使うことの“メリット”を見出す、それも情報教育なのです。子どもは教師の背中を見てICT活用方法を身に付けるというわけです。

 理科でも同じことがいえます。普通教室では観察したり実験したりすることが難しい場合、映像やシミュレーションソフトなどを使うと子どもたちは疑似体験できます。実際の観察や実験が重要であることは言うまでもありませんが、ICT活用の利便性(この場合は、シミュレーションの効用)を学ぶことが情報活用の能力を伸ばすことにつながります。これは余談ですが、お隣の韓国では、その昔、理科の実験で大きな事故が起きたことを機に、それ以来先生方は実験をひかえる傾向になってしまい、子どもたちの理科の学力低下が問題になったそうです。しかし、映像やシミュレーションソフトを活用した実験体験が可能になったことで、理科の学力を回復できたということです。まさに、韓国の教育界がICT活用で問題解決をした例といえるでしょう。