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 今、世間では原子力発電所の再稼働や電気料金の値上げでもめている。俺も確かにおかしいなと思うことがたくさんあるが、このコラムは天声人語ではないので書きません。その代わり、電気を作るための発電方法をデジタル落語家としていろいろと考えてみたい。

 先日、浅草演芸ホールの楽屋で、年配の落語家さんが「原子力なんか燃やして電気作ろうとするから危ねえんだ、てやんでえ」という。すると前座が「原子力燃やしてどうやって電気を作るんですかね?」。それに対して、「知らねえのか、ウランっていう石を燃やすと原子とか分子が飛び出して、それが擦れて電気が生まれるんだ。そんなことくらい分からねえと世間に置いてかれるぞ」。

 師匠。あなたがすでに置いていかれてます。原子力でも火力でも水力でもやることはひとつ。大きなタービンを回して、その回転力で電気を産む。原子力と火力は熱を作り、その熱で水を沸騰させ、水蒸気でタービンを回す。水力は高い位置から水を落としてタービンを回す。だからタービンをどうやって回すかが問題となる。高い金をもらっているのに働かない政治家や自分たちに都合のいいシステムを作り出して金稼いでいる天下り官僚なんかをたくさん集めてタービンを回させたってよいのだ。でもきっと言い訳ばかりで働かないんだろうな。

 しかし今はタービンを回さなくてもいろいろな方法で電気を産みだすことができる。最たる例がこのコラムで彦いち師匠が書いていた太陽光発電だ。一昔前の太陽光発電と言えば、効率が悪かったり初期投資が高かったりと、何かと問題があって普及しなかった。「電気なんか安いんだから面倒なことしなくていいよ」と思っていたよね。

 でも節電が叫ばれ電力会社の独占が問題視され、その上、電気代の値上げとなれば「自分で電気作った方が安いんじゃない」なんてみんなが思うのが当たり前になってきた。また電気自動車の進化で優秀な蓄電池が生まれ、電気をためることができるようになった。

 「ええ、電気なんて今までだってためていたんだろう。発電所に大きな電池みたいなのがあって、夜、使わない電気をその中に貯めて昼間使っていたんじゃないの?」

 それが違うんです。24時間稼働の発電所で、使われないのに生まれた夜の電気は、そのまま垂れ流されて消えて行くのです。回転寿司で誰にも取られなかったネタがゴミ箱に吸い込まれていくのと一緒です。だからオール電化で深夜の割安の電気使って水をお湯に変えておくとか、工場が夜間に営業して安い電気を使うとか涙ぐましい努力があった。

 でも電気自動車で使う蓄電池が効率よく、どんどん進化して個人で電気をためることができるようになった。ゴミ箱行だった深夜の安いいなりずしを家に持ち帰り、冷蔵庫に入れて次の日の朝ごはんにすることができるようになったというわけだ。

 太陽光で昼間に生まれた電気や夜間の安い電気を蓄電池にためて使うという時代がそこまで来ている。実際、太陽光発電も以前の発電ではロスが多かった太陽光エネルギーを半分以上電気エネルギーに変える発電方法を某大学の先生が発見されたと新聞に書かれていた。また蓄電池も今までのリチウム電池ではなく、もっと効率が良くて軽い電池が次々と発明されているという。次から次へと新しい発電方法や蓄電池が雨後のたけのこみたいに頭を一斉に出してきた。