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 今回は、学校を取り巻く情報化の“影”の部分に注目します。学校は認めていないが存在する“学校非公式サイト”とそれをパトロールする活動の現状をお話します。続いて、急速に普及する携帯電話(スマートフォン)が子どもたちに与える影響についても、最新のアンケート結果から読み解いてみます。

学校を取り巻く不適切情報の“渦”

 みなさんは「学校裏サイト」をご存じでしょうか?「学校非公式サイト」の通称で、実在の学校に関したさまざまな情報を、主に特定のメンバーが読み書きするために作られたWebサイトのことです。2000年に入ってしばらくして姿を見せ始めたようで、2005年ころから急速に増えたといわれています。学校内外の関係者、時には無関係な者までが匿名で無責任な情報を書き込むことが問題となっていて、学校運営や在籍する子どもたちにいろいろな影響を与えています。当該の学校はその存在や内容を公式に認めていないので「学校非公式」という名前が付いています。

 インターネット上にはさまざまな「有害情報」が溢れています。日本では、このような情報から子どもたちを守るために「出会い系サイト規制法(=インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」(2003.6)や「青少年インターネット環境整備法(=青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)」(2008.6)などが制定されてきました。この結果、社会が守るべきルールはある程度明確にされ、その成果も徐々に出ています。しかし、子どもたちの間の誹謗(ひぼう)中傷や不適切な情報は法で規制することは難しく、その影響を考えると看過できない場合が数多くあります。

 文部科学省が行った調査では、2008年3月の時点で、4万件近くの学校非公式サイトが確認されました(図1)。圧倒的に「匿名掲示板」を利用したものが多かったとのことです。

図1 文部科学省が2008年当初に行った<a href=「青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査」の報告書。Webサイトは以下の4つに分類され、それぞれに特性がある。(1)特定学校非公式サイト(実在の学校名が付けられた掲示板で管理・運営、利用者は中高生が原則)/(2)一般学校非公式サイト(特定地域の特定校の中高生だけではなく全国の生徒からの利用を想定したサイト)/(3)スレッド型学校非公式サイト(匿名掲示板)(主として大型掲示板にスレッドとして学校名が掲げられた種類のサイト)/(4)グループ・ホームページ型学校非公式サイト(少人数の生徒らが実在の学校名、クラス、サークル名などを付けて共同管理しているサイト)">
図1 文部科学省が2008年当初に行った「青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査」の報告書。Webサイトは以下の4つに分類され、それぞれに特性がある。(1)特定学校非公式サイト(実在の学校名が付けられた掲示板で管理・運営、利用者は中高生が原則)/(2)一般学校非公式サイト(特定地域の特定校の中高生だけではなく全国の生徒からの利用を想定したサイト)/(3)スレッド型学校非公式サイト(匿名掲示板)(主として大型掲示板にスレッドとして学校名が掲げられた種類のサイト)/(4)グループ・ホームページ型学校非公式サイト(少人数の生徒らが実在の学校名、クラス、サークル名などを付けて共同管理しているサイト)
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 今から4年前の調査ですから、現在ではこれをはるかに上回る数のサイトが存在すると考えてよいでしょう。ちなみに、全国Webカウンセリング協会の「学校裏サイトリンク集」を見ると、2009年1月の時点で11万件以上が登録されているという情報もあり、その総数は把握できていないのが現状です(図2)。

図2 全国Webカウンセリング協会の<a href=「学校裏サイトリンク集」。2009年1月時点の登録件数が「113,404」サイトとある">
図2 全国Webカウンセリング協会の「学校裏サイトリンク集」。2009年1月時点の登録件数が「113,404」サイトとある
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 学校非公式サイトには、たわいのない冗談や卒業生や先輩の比較的まともなアドバイスなども書き込まれていて、必ずしも有害な情報ばかりとは限りません。中には、「このサイトのお陰でだれにも相談できなくて悩んでいた問題を解決することができた」という言葉を口にしている子どももいるようです。

 しかし、匿名による書き込みはときに無責任な発言を誘発し、特定の者だけに通じる隠語やサインなどを使って、体育祭後の“飲み会”の連絡や、徒党を組んで問題行動を起こす際の連絡などに使われていたりします。また、発言のやり取りがヒートアップすると、特定個人の誹謗中傷や悪意を持った個人情報の流出にもつながりかねません。利用者にとってはある意味の“ネット活用”なのですが、内容や周囲に与える影響を考えると学校は見逃すわけにはいきません。