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 2012年8月1日にWindows 8が完成しました。米マイクロソフトはこれをRTM(Release To Manufacturing;製造へのリリース)と呼んでいます。もともとは社内の用語だったのですが、いつの間にか公式な表現になってしまいました。これに対して、パッケージや搭載ハードウエアの販売開始をGA(Generally Available)と言います。GAは、10月26日が予定されています。

 さて、ちょっと気になるのは、Windows RTを搭載したマシンがどうなるかです。どうも、マイクロソフトを除くと4社がWindows RTマシンを最初に出荷するメーカーになりそうです。Windows RTマシンを開発しているメーカーについては、開発者向けブログ「Building Windows 8」への8月14日付けの書き込みで明らかにされており、それは、台湾アスーステック・コンピューター、米デル、中国レノボ、韓国サムスンの4社と、マイクロソフトです。

 情報をちょっと整理しましょう。

 まず、2011年1月のCESでマイクロソフトはARM版Windowsのデモを行いました。このとき、対応するSoCベンダー(半導体メーカー)として米NVIDIA、米テキサス・インスツルメンツ(TI)、米クアルコムの3社を挙げました。

 また、マイクロソフトは、開発期間を短縮し、クオリティを高めるため、この3社と協同して「シャシー戦略」を取ると言われていました。これは、Windows Phone 7の開発で導入された手法です。プロセッサーやハードウエアアーキテクチャを固定し、ハードウエアメーカーには、同一の仕様での開発をしてもらい、OSのバリエーションをなくし、開発工数を減らすとともに、ソフト、ハードを並行して開発するというものです。今回の場合、SoCが3つありますが、細かな違いについては、デバイスドライバーなどで吸収し、その開発をSoCメーカー側に任せ、マイクロソフトは単一のWindows RTの開発に専念するというやり方になります。

 さらに、マイクロソフトは、初期投入時のWindows RTマシンのクオリティを高めるため、最初に出荷できるメーカーを限定したと言われています。

 2011年9月の開発者会議「BUILD」が開催された頃の「噂」では、最初にWindows RTマシンを出せるのは3~4社と言われていました。その後、SoCベンダー1社に対して、ハードウエアメーカーが2社づつついたという話になり、マイクロソフトを除いて6社が開発中という話もありました。

 今回の4社に入っていないうちの1社である米ヒューレット・パッカード(HP)は、Windows RTタブレットを当初投入しないと報道されています。最初からWindows RTタブレット投入の計画がなかったのではなく、途中で中止したように思えます。というのは、昨年秋頃のHPの動きです。HPは、2011年8月に出荷が始まったばかりのTouchPadタブレットを含むWebOS部門を閉鎖しました。ビジネスを中止するにしてはあまりに奇妙なタイミングです。HPが急にWebOSを捨てた背景には、Windows RTの存在があったのではないでしょうか? 2011年9月には、BUILDが開催され、メトロ環境などWindows 8の姿が初めて明らかになりました。また、NVIDIAやクアルコムは展示会場でプロトタイプのデモを行っています。HPは、パソコンで世界トップのシェアを持ち、かねてからタブレットのビジネスに興味を示していました。WebOSのためにパームを買収したのも、x86/x64のWindows 7のタブレットに限界を感じたからだと言われています。そのHPが急にWebOSを放棄するには、何らかの代案があったはずです。それがWindows RTのタブレットだったのではないかというのが筆者の想像です。なので、最終的に明かになったWindows RTタブレットの初期出荷メーカーにHPが含まれていないのは、最初から投入しないことを決めていたのではなく、計画を中止したからだと考えるのが妥当と思えるのです。

 同じく東芝は、COMPUTETの開催期間中にWindows RTの開発計画を明らかにし、プロトタイプを公開までしましたが、SoCベンダーを公開していませんでした。しかし、結局製品化はしないとブルームバーグに説明したといいます。部品の供給に問題があり、計画通りに製造するのが困難というのが理由です。