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 文部科学省が2012年4月17日に実施した「全国学力・学習状況調査」の調査結果を、国立教育政策研究所が8月8日に公開しました。この中で、授業におけるICT活用の影響についての報告があるので、今回は学力とICT活用という視点で、理科の授業の状況を読み解いてみましょう。

2年ぶりの調査に「理科」が加わる

 全国学力・学習状況調査(※1)は2007年(平成19年)度に悉皆の全国調査として始まりました。調査対象は、小学校6年生と中学校3年生で、「教科に関する調査」と「生活習慣や学校環境に関する質問紙調査」が行われます。いわゆる“学力”の調査は前者にあたり、国語と算数・数学のペーパーテストが実施されます。東日本大震災の影響で実施が一時見送られましたが、今年は2年ぶりに再開しました。調査科目に「理科」が加わったのが今回の特徴です。

ちょっと気になる「理科」に対する子どもたちの姿勢

 調査報告の概要を見ると、「生活習慣や学習環境等に関する調査結果」の中で、理科の勉強は好きだけれど、それが「大切で社会に出たときに有用である」という意識が、国語や算数・理科に比べて低いという指摘をしています(図1)。

図1 「将来社会に出たときに役立つ」と思う児童・生徒の割合が国語や算数に比べて理科は低い(出典 「平成24年度 全国学力・学習状況調査」 P.36~39)
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 また、小学校から中学校に進む過程で、「理科の授業がよく分かる」という子どもの割合が、これも、国語や算数・数学と比べてぐっと減ってしまうといいます。ところが、「分かる」に肯定的に回答した子どもたちの方が、学力テストの結果(平均正答率)も高く、また、観察や実験を行うことが好きだったり、自分の予想をもとに観察や実験の計画を立てたりすることに肯定的な子どもたちの方が、学力テストの結果(平均正答率)が高かったのです。これら2つの傾向は、中学生の方が小学生より強くなりました。

 小学校の理科では「分かると好きの相互作用」がうまく働いているようです。しかし、「大切さや有用性」の理解が足りないままに内容が高度になっていくと、どこかのタイミングで「分かる」のチェーンが切れてしまい、よい相互作用が働かなくなってしまうのかもしれません。それを避けるためのキーワードが、「観察」、「実験」、「仮説作り」、「計画作り」、「振り返り」などなのだと思います。