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 iPhoneなどスマートフォンを使って家電製品をコントロールする製品がちらほら出始めた。以前のコラムで触れたように、それらの多くは単にリモコンボタンをiPhoneのタッチパネルに置き換えただけの物も多く、双方向性や状況分析機能を盛り込んだ本当のスマートな物になりきれていないところがなんとも情けないところだ。しかし、その気運がようやく芽生えてきたなと思っていたら、パナソニックが監督官庁からの指導により、製品発表当初は目玉機能ともしていたリモートからのエアコンのオン/オフ機能を外して出荷するという。またか! 何10年か前に逆戻り。

「電波でコントロールする」のが危険?

 パナソニックが8月21日に発表したプレスリリースにはこうメリットをうたっていた。「外出先から帰宅前にエアコンを運転オンしたり、寝室からリビングのエアコンを操作したり、エアコンの新しい使い方を提案すると共に、現在、過去の電気代をスマートフォンで確認できるので、節電意識の向上に役立ちます。」

 しかし、製品発表のその日、「遠隔地から家電製品をオン/オフするのは危なくて、電気用品安全法違反です」と指導されたとしてパナソニックは製品仕様を削って出荷することになったという。

 無念の発表にはこうある。「電波を利用した、外出先等からの遠隔操作における、運転オンの機能は、監督官庁とも協議いたしました結果、電気用品安全法 技術基準への適合に課題があると判断し、同基準へのより確実な適合を図るために、遠隔操作の一部仕様(運転オン機能)を削除することにいたしました」。夏休みの子供の工作じゃあるまいし、適切な設計を施した製品に大昔に採択された安全基準を押し付けて行政指導を行うとは、何とも前時代的な官僚的杓子定規。しかも、ここに書かれているように「電波を使って運転オンにする部分が安全基準に合っていない」とは今どきの無線技術をあまりにバカにした判断だ(図1)。

図1 電気用品安全法の技術基準に適合していないと監督官庁に指摘され、「遠隔操作での運転オン」「カレンダー予約」「パワーセーブセレクト」「ダブル温度設定」機能を削除した。自慢の機能のうち、最も華である部分を全部削除せざるを得なかったとは、さぞかしパナソニックも残念だったろう。日本の家電を名実ともに牽引してきた企業が「安全を担保する法律に触れる」と指摘され、法令遵守のために機能を削らざるを得ないとは、規制に問題ありとしか考えられない。
図1 電気用品安全法の技術基準に適合していないと監督官庁に指摘され、「遠隔操作での運転オン」「カレンダー予約」「パワーセーブセレクト」「ダブル温度設定」機能を削除した。自慢の機能のうち、最も華である部分を全部削除せざるを得なかったとは、さぞかしパナソニックも残念だったろう。日本の家電を名実ともに牽引してきた企業が「安全を担保する法律に触れる」と指摘され、法令遵守のために機能を削らざるを得ないとは、規制に問題ありとしか考えられない。
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 パナソニックのこの設備は、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンから、登録したサーバーに情報を送り、インターネット経由で自宅内に置いたパナソニック製の無線ゲートウェイ→エアコン側の無線アダプターと情報を転送してオン/オフをしようとしていたものだ。インターネット経由のIPコントロールでホームコントローラーを操作する設備は既に住宅などに装備されている家屋もあるが、こういう仕組みとは異なり、無線ゲートウェイ→エアコン側の無線アダプター間を電波で操作するというところが危険視されてしまったようだ。このあたりの経緯を実際に「行政指導」した担当係官に取材した詳しい記事が日経新聞の電子版に掲載されているので、ご覧いただきたい。