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 長きにわたってアップルとその製品をウオッチしてきた私にとって、今年は例年にも増して楽しませてもらうことが多く、忙しい1年だった。難しいことをしなくてもすごいことができるものが欲しいとアップルの創業者の2人のスティーブが創り出した世界は、創業から36年たって本当の輝きを見せ始めたように感ずる。電車で隣に座ったご老人からiPhoneの使い方を聞かれるとは……。しかし、こんなに「普通の人」が日常的に触れる製品を提供しているのに、アップルは遠くカリフォルニアの会社だなあと感じさせる場面も多くて、私の出番は増える一方だ。

iPhoneの親切があだになる

 難しいことをしなくてもすごいことができるもの――iPadやiPhoneは、まさにその域に近づいている。どこに居ても読みたい新聞/本が読め、伝えたい心を地球のどこからでも贈れ、その時の気分にぴったりの音楽や映像をたのしむ。私がiPhoneをサクサク使っているのを見て、ご老人からiPhoneの使い方を聞かれるとは、なんて時代も進んだものだなあ、と情報コンシェルジェとしてはうれしさひとしおだ。私も頭髪は真っ白で、ご同輩と見て取られたから親しみをこめて話しかけられたとお見受けするが、聞かれた内容がごもっともなことでアップル米本社、および日本のアップルはまだまだやるべきことがたくさんある、と痛感した。

 聞かれたのはこんな話だ。

 「娘からもらった今日の傘寿のお祝いの場所を知らせるメールを見ていたけど、それが突然消えてしまった。行き先と思える地図が出ているけど、もう一度メールを見て正確な店の名前と住所を確認したい。どうすればいいか?」

 う~~ん、それは困った。どれどれ、といきさつを詳しく聞くうちに、流れが分かった。図1はその時のメールの再現画面だ。この方はこのメールに書かれていた青く表示された住所を触ったら画面がパッと替わって地図になったのだそうだ。アップルの製品はユーザーの利便性を高めようと、いろいろと親切な仕掛けが組み込んである。今回の場合、この住所項目を触ったら該当する場所を示す地図が出たということのようだ(図1)。

図1 娘さんから来たメールはこんな感じだった。再現ビデオならぬ再現メール。娘さんは住所のところをホットリンクにするように設定したわけでもないが、iOSのメールがこの部分を「住所情報である」と認識、地図上で表示させるようにホットリンクにしてくれた。これをタップすると地図アプリに移動する。ご老人はこの動作を、地図を貼り付けたメールの文面の別ページが出たと思い込んでしまったようだ。
図1 娘さんから来たメールはこんな感じだった。再現ビデオならぬ再現メール。娘さんは住所のところをホットリンクにするように設定したわけでもないが、iOSのメールがこの部分を「住所情報である」と認識、地図上で表示させるようにホットリンクにしてくれた。これをタップすると地図アプリに移動する。ご老人はこの動作を、地図を貼り付けたメールの文面の別ページが出たと思い込んでしまったようだ。
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 なんだ、そういうことかと、「メニューボタンを押してホーム画面に戻り、もう一度「メール」アプリをタップすればオッケーですよ」と教えてあげて事無きを得たのだが、メニューボタンを押すことも知らない訳はない、と逆にこちらの疑問が大きくなった。すると「メールを読んでいる画面で住所部分に触ったら地図が出たので、そのメールの一部に貼付けられた地図が表示されたのだと思った。だから元に戻そうと逆にスクロールさせたり、矢印があるのでそれをタップしたりしたらますます知らない画面が出てきて分からなくなった」とのこと。つまり、メールアプリの中に居て、まだ先ほどのメッセージを読んでいる続きなのだと思い込んでおり、その画面に戻そうとしてあちこちスクロールさせてみたというわけだ。まさか、アプリが切り替わっていて、メールアプリではないマップアプリ上で操作をしているとはつゆほども思わなかったそうだ。この方はワープロやWeb検索にはパソコンをたしなむ程度に使っておられるそうだが、パソコン以上に高度な使いこなしができそうなiPhoneをもっともっと勉強してみたいのだという。

 ちなみに図1の青く表示されている住所項目をタップすると、こんな地図画面になる(図2)。メールに書かれていた「松本楼」は表示されずに「南部亭」しか出ていないのは、今のアップルのマップの不具合だ。メールにあるとおり、駅員さんに聞いたら絶対分かるだろうから問題ないかも知れないが、そうでなければ、この老人に大変な苦労をかけるところだ。ちなみに、Googleマップを開いて同じ住所を検索したら、近くにちゃんと「松本楼」も表示された。

図2 図1のホットリンクをタップしたら、この画面に移行する。松本楼の文字が見えないのが残念だ。この画面を閉じたら元のメール画面に戻ってくれたら、全く分からない人にも受け入れてもらいやすいのだが、そうはならないので、ユーザーが元のメールアプリを再度立ち上げなければならない。
図2 図1のホットリンクをタップしたら、この画面に移行する。松本楼の文字が見えないのが残念だ。この画面を閉じたら元のメール画面に戻ってくれたら、全く分からない人にも受け入れてもらいやすいのだが、そうはならないので、ユーザーが元のメールアプリを再度立ち上げなければならない。
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