DropboxやEvernoteは便利だけど…
明けましておめでとうございます。今年も身近なITの話題で、日常生活や人生がより幸せになる方向を探っていきますので、よろしくお付き合いください。
「DropboxやEvernoteをビジネスやプライベートに大いに活用しよう、しかも、PCとスマホもしくはタブレットで」、みたいな記事をよく書いている。ほかでもそういう内容の記事を見かける。
この連載でも先日、「さまざまな書類をドキュメントスキャナーで電子化する」という記事を書いて、Dropboxなどのクラウドを使うとなかなか便利、と述べた。確かに、こうしたクラウドサービスを使えばいつでもどこでも、端末とネット環境さえあれば、ストックしてある書類にアクセスできて、しごく便利なのは間違いない。まさに「クラウド」という名の通り、ぽっかり浮かんだ雲の中に、自分の書類用引き出しがあり、ここによく使う書類を入れておき、好きなときにすぐに引き出せるイメージだ。
ところが、このクラウド利用には、大きな落とし穴がある。それは、電波が届かない、プロバイダーがトラブったなどで、インターネットに接続できない状況の場合だ。クラウド上の書類を閲覧していると、だんだん、それらの書類の在り処を忘れてしまう。もちろんそうした感覚なくいつでもどこでも使えるのがクラウドの強み。端末のストレージが貧弱でも、まさに端末の中に書類があるかのように使えるのがメリットなのだから、在り処の感覚がなくなって当たり前、とも言える。
話は戻って、筆者がドキュメントスキャナーで整理した書類たち。それは主に病院関係の書類で、たいていの場合、病院ではほかの医療機器への影響などの問題で、3GやWi-Fiなどの電波を出すのを控えるよう、注意書きされている。スマホやKindleで何かを読む場合は、「フライトモード」を選ぶなどして、電波を出さないようにして使うのがエチケットだ(施設によって規則が違う場合があるので、それぞれの施設に確認すること)。そうした場合、クラウドの書類にはアクセスできないのである。
あと、プレゼンや打ち合わせを行うような場合、建物や部屋の場所、向きなどによって、電波事情が良くないときもある。たとえ通じても切れ切れであれば、クラウド上の書類を、あたかも自分の端末にあるかのように使うことはできない。ホテルやカフェなどの場合はWi-Fiが備え付けてあったりするが、トラフィックがキツかったり、メンテ不足などで思うような速度が得られなかったり、はたまた、自分の使う機器と相性が悪かったり、などの事態も考えられる。
そんな感じで、特に大事な会議や打ち合わせ、プレゼンなどでクラウド上の書類を使う場合は、あらかじめその場所の電波事情をよく調べる必要があるだろう。例えば電波を使えない病院内での閲覧はできない。
まあ、一番無難なのは、見たい書類をオフラインでも閲覧できるようにしておくことだ。使いそうな書類を、あらかじめ電波の良好な場所で、使う予定のある端末にダウンロードしておく作業が必要になる。
とりあえず、便利なクラウドだけど、オフラインで使うことも想定しておくのがいいだろう。とにかく、肝心な所で書類にアクセスできない、という事態は避けたい。普段、「在り処の感覚」がない便利さを享受しているから、なおさらである。