Windows 8はWindows 7をベースに強化が行われていますが、7に比べて大きく要求スペックが上がったわけではありません。Windows 7が動作しているならWindows 8が動くはずです。
各種のベンチマーク結果などを見るに、Windows 8は同等のハードウエアであればWindows 7よりも効率が良さそうです。なので、少しぐらい古いマシンにWindows 8を入れると、場合によっては効率改善で良くなる可能性があります。
特にWindows Vista世代のハードウエアは、Vistaが比較的高い要求スペックであったため、本来の性能を発揮できずにいたものが少なくありません。そのために、Windows XPに入れ直すなんて話が結構ありました。
今回は、2008年に購入したLOOX U/B50N(以下LOOX)にWindows 8を入れてみました。前にWindows 8のコンシューマープレビュー(CP)版を入れたのは、この機種の後継機に当たるLOOX U/G90で、マルチタッチ対応、メモリーも2GBありました。つまり、今回のLOOXの方が性能も低く、条件も良くないのです。しかし、結果は、悪くありません。筆者的には、LOOX U/G90よりも、前世代のU/B50Nの方が良さそうに感じます。性能は違いますが、U/B50Nの方がきょう体などのバランスが良く、U/G90は、どちらかというとできの悪い息子という感じだったからです。
とはいえ、メモリーが1GB、CPUはAtom Z530 1.6GHzなので、フルに性能を発揮させたところで、いまやたいしたことのないスペックですが、メールやWebといった使い方なら、まずまずというところでした。ビデオなどの再生も可能ですが、YouTubeなどのHD(720p)の再生はちょっときつい感じです。少しぎくしゃくしたところがあります。
もう使わなくなったマシンがあるなら、入れてみるのも悪くないかもしれません。ただし、ちょっと注意する点もあります。画面の解像度です。最低でも1024×768ドットないと、モダンUI環境を動かすことができません。推奨は1366ドット×768ドットで、この解像度以上だと、モダンUI環境で画面を区切って片側に簡易表示を行わせる「スナップ」機能が利用できます。横幅が1366ドットない場合(1024~1366の間)では、モダンUI環境は動作しますが、スナップが使えません。
ネットブックなど、過去に出たAtom系のマシンでは、横幅は1024ドット以上あるものがほとんどですが、縦方向の解像度が600ドットと短いものがあり、モダンUI環境が動作しない可能性があります。筆者宅でも、いくつかのマシンはこの制限のためにWindows 7のまま利用しています。
今回8を入れてみたLOOXは、感圧方式のタッチパネルを備えており、Windows 8をタッチで使うことができました。解像度は1280×800ドットであるため、モダンUI環境は使えますが、スナップ機能は利用できません。また、液晶面と周囲の部分に段差があるため、タッチパネルが利用できても、スライド(画面の外側から内側に向かって指を滑らせる操作)はできません。キーボードがあるため、ほとんどの操作はキーボードから可能であること、スティック型のポインティングデバイスが装備されていて、さらに液晶面に付けられたボタンに機能を割り当てることができるため、タブレット型にしてもある程度の操作が可能なため、あまり不便でもありません。
この世代のAtomプロセッサーのマシンに関しては、Windows 8標準のデバイスドライバー(インボックス ドライバー)で問題なく動作しますが、いくつか手動でドライバーをインストールする必要があります。すべてWindows 7用のものがそのまま利用できます。
手動でインストールする必要があるのは、富士通独自のドライバーと、インテルのGMA500(ディスプレイコントローラ)のドライバーです。LOOX独自のドライバーはいくつかあるのですが、Hotkeyユーティリティはバックライトの明るさやボリュームの表示を画面に重ねて緑色の文字(テレビのボリューム表示のような感じ)で行うもので、Windows 8は独自のバックライト、ボリューム表示があるため、入れる必要はありません。液晶面にあるボタンを使うには、ボタンドライバーやボタンユーティリティをインストールします。Bluetoothやオーディオ、チップセットのドライバーはWindows 8のインボックス ドライバーでなんとかなるようです。ディスプレイは、インボックス ドライバーだと、画面サイズを認識しない(XGAになってしまう)ため、インテルのWebサイトからGMA500用のドライバをダウンロードして使います(Windows 7用32bit版)。
指紋認証は、コントロールパネルの「生体認証」を開いて、リンクをクリックすると、指紋リーダーの開発元のWebサイトがWebブラウザーで開きます。そこからWindows 8対応(Windows 7対応?)のユーティリティがダウンロードできるので、これを入れました。ログオン時に、パスワード欄が表示されたときにオプションで指紋認証が選択できるようになりますが、特に指紋認証が選択状態でなくても、パスワード入力状態のまま指紋リーダーで指紋を認識させると、自動的にログオンできます。これは、ピクチャーパスワードよりも手軽で便利です。また、スリープからの復帰では、ロック画面の状態でも指紋の読み取りでロック画面の解除とログオンが可能で、1タッチでWindows 8に戻ることができます。