PC産業を取り巻く「常識」が変り始めている。2013年はその点でも大きな転換点を迎えそうだ。
では、どんな形で業界の常識が変わろうとしているのか。常識の変化はいくつかの観点で目に見え始めている。
ひとつは、水平分業の形が崩れ始めようとしている点だ。
これまでPC業界は、PCメーカー、OSメーカー、CPUメーカー、組み立てメーカーといったように水平分業が確立されていた。しかし、OSメーカーであるマイクロソフトが自社ブランドのハードウエア「Surface」を投入。CPUメーカーであるインテルも、「NUC」と呼ばれる小型PCを市場に投入し始めた。さらにインテルでは、かつてのCentrinoなどに比べて、より深く踏み込んだUltrabookの規格を策定するなどの動きも変化のひとつに挙げられよう。かつては、組み立てメーカーに徹していたAcerやASUSも、いまでは世界に展開するPCメーカーとしての地位を確立している。
水平分業におけるお互いの枠を超えた形で、それぞれの事業範囲を広げる動きが顕著なのである。これは業界内の微妙なバランスを崩すことになりりそうだ。
2つめには、プレーヤーが変化し始めたことだ。
これはタブレット市場やスマートフォンの動きとも連動するが、Android OSの開発や、「NEXUS」などの製品を投入するグーグル、Kindleによって話題を集めるアマゾンなど、PCメーカーと呼ばれるプレーヤーとは別のプレーヤーが市場に参入し、存在感を高めている。
これも「業際」を崩すという、業界変化の大きな動きのひとつである。
そして、3つめには、新OSや新CPUが、市場を活性化する決定的な起爆剤にはならなくなってきたという点だ。
2012年は、10月にWindows 8というビッグプロダクトが発表され、Ivy Bridgeと呼ばれる第3世代インテルCoreシリーズも4月から発売されていた。Ultrabookという新たなコンセプトのPCが広がりを見せるという点でも、大きな動きの1年であったといえよう。