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 2013年1月23日に、電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2012年(2012年1月~12月)の国内PC市場規模は、前年比3.7%増の1127万4000台となった。

 前年実績を上回る結果となったものの、業界関係者の表情は暗い。

 というのも、Windows 8が発売された2012年10月26日以降の3カ月間(2012年10~12月)の出荷実績が、前年割れとなる前年同期比1.7%減の267万台にとどまっているからだ。

 前回の本コラムでも触れたように、新たなOSや新たなCPUの発売は、もはや市場拡大の起爆剤にはならないということを示すものだといっていいだろう。

 では、これからのPC市場は拡大するのだろうか。そして、需要を喚起する起爆剤があるのだろうか。

 実は、この話題になると、業界関係者の表情は明るくなる。

 それは、PC業界が期待する4つの要素があるからだ。

 ひとつは、安倍政権の発足以降、円安の影響によって、一部の企業において、2012年度業績が好転。年度末の予算をIT投資に活用するといった動きが出始めている点だ。

 レノボ・ジャパンの渡辺朱美社長は、「円安、株価の動きを受けて、3月期の利益が予想以上に上がってしまう企業では、急いで予算を消化したり、追加のIT投資を行う検討が行われている」とする。

 円安、株高の動きが、3月末に向けて思わぬ需要を生むというわけだ。

 2つめは、4月以降に想定される設備投資減税などの税制優遇措置を背景にした需要喚起だ。

 総額13兆1054億円となる大型補正予算によって、安倍政権が掲げる「大胆な金融政策」「民間投資を喚起する成長戦略」「機動的な財務戦略」という3本の矢が、PC業界にどんな形でプラス影響を及ぼすのかが、業界関係者から注目されている。

 3つめには、これら政策の裏返しともいえる2014年4月の消費税8%引き上げ前の駆け込み需要への期待だ。

 消費税率の引き上げ時の駆け込み需要は、97年4月の5%への引き上げ時にも見られており、PC市場を喚起する起爆剤としての期待は大きい。2015年10月には、消費税率が10%に引き上げられることになり、ここでも引き続き需要喚起が見込まれる。