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 アップルがiOSデバイスの進化でPCレスの時代に入ったと宣言してからほぼ1年ほどになる。iOSの場合、バージョン5にアップグレードされてからはパソコンへの接続は必ずしも必要でなくなった。これにより、自宅にパソコンを持ち合わせていない人が「1台目の情報端末」としてiPadを活用できるようになった。しかし、肝心のインターネット上の商品案内、販売、購入、コンテンツ提供の相手先としてiOSデバイスが入っていないことがあり、iPadだけでは事足りない状況に追い込まれる。ユーザーとしては残念だ。しかし、それ以上に情報提供している企業側にとって、これは重大な機会損失となっている。

オールインワンですぐに使い始められるのがタブレット端末の良いところ

 日ごろからパソコン導入のお手伝いをしていて、最近感ずる大きな変化はパソコン所有願望、あるいは所有率がぐんと下がってきたのに対し、iPadのようなタブレット端末に興味の対象が移ってきて、これからの主力情報端末はタブレット端末だとの認識が強くなってきたことだ。特に、ご高齢の家庭ではそもそもパソコンなんて使わないよと一切保有してこなかった世帯で、孫や子供からの動画付きメールなど、どうしても取り組みたい事案が増えてきており、この方面で積極的な導入機運が高まって来ている。

 しかも、一昔前と違って、面倒な操作をしなくてもそうした通信を楽しむことができるようになり、これなら私でもできると、受け取り方が大きく変わってきているのが特徴的だ。少し前まで、「テレビ電話」をしたいためだけにパソコンを購入しようと思うと、パソコンの機種選定に始まり、ネットワーク機器の選定・購入、Webカメラの選定・購入に進む。ワンセットそろったところで、周辺機器のデバイスドライバーを組み込み、アプリをインストールし、通信設定を調整し、電気代を気にしながら常時電源を入れつつ、遠くに住む家族からのコールを待たなければならなかった。これは一般の人にとって極めてハードルが高い。ところが、iPhoneやiPadでならApple IDをセットして互いにその情報を伝え合うだけで、テレビ電話(FaceTime)が飛び込んでくる。かかってきたテレビ電話に出るには、画面上に大きく表示されたボタンをスライドさせるだけ。これならこれまでICT機器になじみがなかった高齢者にもすんなり受け入れてもらえる。

 タブレット端末、特にOSとハードの組み合わせとしては1種類しかないiPadでは、箱から出してApple IDをセットするだけですぐに使い始められる。Wi-Fiモデルの場合は、ここに来るまでに無線LAN環境を整えなければならないものの、携帯無線ネットワークを使う「Cellularモデル」の場合なら、まさに箱を開けるだけで、即利用可能になる。パソコンと異なり、必要な周辺機器類は既に全部組み込まれており、最低限必要なアプリも既に用意済み。追加ソフトが必要なら、App Storeから数タップで直接インストールできる。タブレット端末がオールインワンで機能拡張にもほとんど労力がかからないのが功を奏している。

 これなら、これまでパソコンを保有していなかった家庭が新たにパソコンを導入する理由など無く、タブレット端末を用意すれば充分だと理解されているのもうなずける。総務省が平成2年から毎年調査している「通信利用動向調査」の平成24年度版を見ても、このあたりの事情が見て取れる。パソコンの世帯普及率は平成21年末の87.2%を境に、減少の方向で、23年末には77.4%にまで落ち込んでいる。一方、スマートフォンは9.7%から29.3%に、タブレット端末も7.2%から8.5%に増進している(平成22年から23年)。また、インターネット利用者のうちモバイル端末からの利用者は79.1%、モバイル端末からのみの利用者は13.9%にも及んでいる(図1)。

図1 総務省が調査した平成23年度の「通信利用動向調査」の結果から。平成21年を境にパソコンの世帯保有率は減少している。逆にスマートフォン、タブレット端末の普及率は急増している。
図1 総務省が調査した平成23年度の「通信利用動向調査」の結果から。平成21年を境にパソコンの世帯保有率は減少している。逆にスマートフォン、タブレット端末の普及率は急増している。
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