2013年2月12日、北朝鮮が3回目の核実験を強行した。韓国放送通信委員会、行政安全部、国防部、国家情報院などの政府省庁は「サイバー危機評価会議」を開催し、同日17時にサイバー危機警報を発令した。この会議で、北朝鮮が韓国の国家機関をハッキングするといったサイバー攻撃の可能性があると判断したことから、韓国のサイバー危機状態を「正常」から「関心」へ1段階レベルを上げた。サイバー危機警報は、正常→関心→注意→警戒→深刻の5段階である。
サイバー危機警報が発令したことで、ネットワーク関係の民間企業、政府機関、軍が共同で対応チームを組み、ハッキングとDDoS攻撃といったサイバー攻撃を24時間監視し、主要施設を特別点検する非常勤務体制を維持する。全公務員がOSとアンチウイルスのプログラムを最新バージョンにアップデートし、送信先が不明の電子メールは見ないといった基本的な対策も徹底して行った。
韓国が北朝鮮のサイバーテロを心配するのは理由がある。北朝鮮は2009年7月、韓国の大統領官邸や国会のWebサイトにDDoS攻撃をしかけた。2011年3月にも国家機関とマスコミサイトをDDoS攻撃した。2011年4月には農協のサーバーに悪性コードを植え込み、農協の金融関係で使っているパソコン270台が悪性コードに感染してパソコンが使えなくなり大騒ぎになった。2011年11月には高麗大学の大学院生らに悪性コードを添付したメールを送ったこともある。
警察のサイバーテロ専門家らがメールの発送経路を追跡した結果、北朝鮮逓信省のIPだということが分かった。北朝鮮のハッカーは世界60~70カ国のサーバーを経由して韓国や米のWebサイトを攻撃していたという。2012年6月にはマスコミ関係のWebサイトが北朝鮮のハッカーによって荒らされる事件や、パソコンをゾンビパソコンにさせる北朝鮮製のウイルスを仕込んだゲームプログラムを韓国内に流通させた男が、国家保安法違反容疑で逮捕されるという事件もあった。ゾンビパソコンとは、遠隔操作によって自分でも知らないうちにDDoS攻撃に使われるパソコンのことである。