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 アマゾンは、時にびっくりするようなビジネスに進出して人々を驚かせるのだが、日本ではまだあまり知られていないものがいくつかある。

 プライベートブランドもそのひとつだろう。アマゾンのプライベートブランドは、私が知る限りでは4つある。

 ひとつは、「アマゾンベーシックス」で、これは日本でも多少展開されているようだ。SDカードなどのメモリー製品、ケーブルなどのPC関連のアクセサリー、PCバッグなどを売るブランドだ。電池も売るし、タブレットのケースやスタンドもある。キーボード、マウス、そしてシュレッダーなどのオフィス製品も含まれていて、品ぞろえはどんどん良くなっているようだ。

 アマゾンが手がけているということは、こうした製品はもう完全に“ジェネリック”な製品、どこでも製造できるような製品になっているのだなと感じられる。アマゾンが独自に工場を持っているわけではなくて、製造は格安にアウトソースし、それをアマゾンのブランドにして、ほかの大手メーカー製品よりもちょっと安く売るというアプローチである。

 日本にはないほかのプライベートブランドは、タオルやシーツ製品の「ピンゾン」、屋外家具の「ストラットウッド」、工具の「デナリ」だ。ピンゾンやストラットウッドは、うるさいことを言わなければまあまあのデザインで、質も良いのだろう。買ったユーザーの評価はかなり高い。デナリもセットの品そろえは少ないものの、やはり評価の星の数が多いようだ。

 なんでアマゾンはこんなところにまで進出するのかと、当然頭をかしげたくなる。こうしたブライベートブランドは、アマゾンが売れ筋の商品を観察して、「これはいけそう」と思われるものを選んでいるのだろう。そして製造と流通との実験を行っているのだろう。アマゾン、恐るべしだ。

 このプライベートブランド以外にも、「はぁ?」と思ったビジネスが「アマゾンサプライ」だ。これは業務用サプライ製品販売のビジネスで、文房具などのオフィス製品、ネジやピンなどの部品、ハンマーなどの工具、計測機器、掃除用具、ラボ用製品、配管用製品、材料など、不思議なものがたくさん並んでいる。工事現場担当者や、企業の施設部、消耗品の購買担当者などがここへアクセスすれば、必要なものは何でもそろっているといったところだろう。これは、一般消費者向けではなくて、ビジネス向けの商売。家でやっているように、会社でも買い物をしてもらおうというところなのか。いずれにしても大量の物流をさばいているアマゾンにとっては、資源と能力の再利用ということなのかもしれない。